昨今、小売業界では人手不足、人件費の高騰、従業員の長時間労働などが深刻化し、実店舗の維持が難しくなってきている。一方、スマートフォンの普及により、消費者は短時間でお得に、より便利で楽しい購買体験を求める傾向にあり、アメリカではレジ決済無しのデジタル店舗などが生まれている。しかし、日本ではデジタル店舗の実現性を把握できず、導入に至っていない状況である。
株式会社NTTデータは、レジ支払いをせずに、決済手段を指定したQRコードで認証入店することで、手に取った商品をそのまま持ち帰ることのできるレジ無しデジタル店舗出店サービスを小売業界向けに提供開始する。
同サービスは、カメラや重量センサーからのデータ解析を展開する中国のCloudPickと業務提携し、レジ無しデジタル店舗のビジネス化に向けて、以下の3段階のサービスを提供する。
- デジタル実験店舗を活用し、ビジネスプランの仮説作成
- 実際のレジ無しデジタル店舗における仮説検証
- 多店舗展開するためのサポート
2019年8月、NTTデータが持つデザインスタジオ内にレジ無しデジタル実験店舗を設置した。実験店舗で顧客・従業員体験をすることで、業務オペレーションや店舗収支を推測したビジネスプランの仮説を作成する。(NTTデータグループのネットイヤーグループ株式会社と協力し、最短1日で体験できるプログラムも用意)
実際のレジ無しデジタル店舗を消費者が出店する。そして、作成したビジネスプランを消費者と一体となって仮説検証し、多店舗展開に向けた課題と対応方針を明らかにする。機器保守や顧客からの問い合わせ対応、従業員への店舗業務説明など、店舗の運用面まで支援する。
レジ無しデジタル店舗を多店舗展開する上で想定される多様な店舗形態や商材を踏まえた企画・業務オペレーション設計のコンサルティングや、多店舗展開に耐えうるシステムインフラの提供、導入するソフトウエアや機器の品質向上など、レジ無しデジタル店舗を多店舗展開するためのエコシステムを設計する。
また、レジ無しデジタル店舗出店で得られるメリットは以下の通り。
- 消費者メリット
- チェックインの1クリック操作のみでレジに並ばずに支払いができるため、会計時のストレスが軽減される。
- クーポンの自動適用により手間が軽減される。
- 店内行動の可視化によりパーソナライズされた優遇キャンペーンを受けられる。
- 従業員/店舗経営者メリット
- レジ打ちが無くなることによる業務効率化により、労働時間の短縮が見込める。
- レジ無しデジタル店舗の棚の状態が遠隔地から確認できることにより、運営負担が軽減される。
- 従業員の省力化、労働環境改善により人手不足の中でも店舗運営が持続可能となる。
- 企業(本部)メリット
- レジ待ち解消による購買機会を最大化できる
- 消費者の行動動線やアクションをデータで把握することで、拡販チャンスの獲得、店舗設計やマーケティングへの活用が可能となる。
- デジタル化による新しい購買体験、従業員体験の向上を狙ったデジタルストアを実行に移し、収益化を目指すことができる。
NTTデータは今後、同サービスの提供を2022年度末までに小売業界1000店舗へ導入することを目指す。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。