不動産や建設、製造業では、スマートシティやスマートビルディング、スマートファクトリーなど、先進的なITを有効活用した利用者の利便性向上や、ビル運用・管理の効率向上への動きが加速している。制御システムやIoT機器がネットワーク上でつながる「スマート」な環境構築が進む一方、システム構成が複雑化し、ビル全体での管理が困難になっていることや、その脆弱性をついたサイバー攻撃によるリスクの増大が課題となっている。
株式会社日立ソリューションズは、SCADAfence Ltd.(以下、スキャダフェンス)と販売代理店契約を締結し、ビルの制御システムやIoT機器のセキュリティ対策と効率的な運用管理を支援するビル管理セキュリティソリューション「SCADAfence Platform」を販売開始した。
同ソリューションは、AIで不審な通信を早期に検知することでセキュリティ対策を支援する。また、制御システムやIoT機器の一元管理も可能だ。さらに、企業は取得したデータを活用することで、ビルや施設の利便性の向上を図ることができる。詳しい特長は以下の通り。
- AIを活用したサイバー攻撃の可視化およびセキュリティにおけるコンプライアンスを支援
- ビル内のネットワークに接続する資産を自動的に洗い出しビルの運用管理の効率化に貢献
- 商業施設のテナントや施設利用者向けのサービスへデータを活用
制御システムやIoT機器のネットワーク通信を常に監視し、AIを活用した独自の振る舞い学習機能により通常の稼働時に行われる通信を学習する。不審な通信が発生した際に異常を検知することで、サイバー攻撃の早期検知につなげる。また、各種法令ガイドラインへの適応状況を把握し証跡を保存できるため、万一のセキュリティ事故発生時に証跡を利用でき、企業のコンプライアンスを支援する。
従来のビル管理システムでは取得が困難な通信内容(BACnet(※))を分析することで、ビルや施設内のネットワークに接続されている制御システム、IoT機器などの資産情報を自動的にリスト化し、守るべき資産の可視化・一元管理が可能となる。
また、ネットワーク論理構成図を生成しシステム構成を把握することができ、スコアや色分けなどで視覚的に重要度や脆弱性が表示されるため、重要資産や潜在的脆弱性を容易に特定できる。保守点検時のシステム停止による影響範囲を特定することも可能だ。
施設内の会議室の入退室データや導入が拡大しているIoT機器から取得した施設内の温度情報を活用することで、会議室の利用状況の把握やヒートマップの作成などが可能となり、ビルや施設の利便性の向上が見込める。
日立ソリューションズは、サイバー攻撃対策ソリューションや制御システムセキュリティソリューションの提供を通じたトータルセキュリティの視点で、スマートビルの安全で効率的な運用管理を統合的に支援していく。
なお、システムの前提条件(稼働環境)として、SCADAfence管理サーバ動作環境にはUbuntu Linuxサーバーが必要となる。ただし、利用者からの要望に応じてサーバ構築も可能だという。また、SCADAfence接続環境として、セキュリティ対策・運用管理のため既存のネットワーク機器へのミラーポートの設定が必要となる。
※ BACnet:ビルネットワーク用の国際標準の通信プロトコル。
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