コロナ禍の中、人々の行動は変容し経済活動にも影響が生じている。特に消費行動は、日々変化する人出・混雑状況に大きく左右されており、従来の需要予測や来客予測などの情報をそのまま活用することは難しくなっている。
リモートワーク中心の働き方が定着したことで、店舗や施設周辺の状況を直接把握することも困難になった。そのため、企業はこのようなニューノーマル時代に適応した仕組みづくりが求められている。また一方で、リアルタイムの人口データをビジネスに導入するには、データの活用方法や既存システムとの連携においても課題があった。
株式会社NTTデータは、多様な位置情報コンテンツのビジネス活用を可能にする地図情報システム「BizXaaS MaP(※1)」にて「モバイル空間統計人口分布統計(リアルタイム版)(※2)」を日本全国1時間のリードタイムで配信するサービスの提供を開始した。
同サービスでは、これまでデータの表示に1カ月程度のリードタイムがあった人口データを、1時間のリードタイムで配信し、コロナ禍で変動する人々のリアルタイムな人口分布や属性情報(性・年代・居住地)を500mメッシュ単位で把握することができる。属性情報も確認できるため、いつ・どこに・どのような人が・どこから来ているか把握可能だ。これらの情報を1時間や1日毎の単位で自動的に推移し表示するため、街の動きを視覚的に確認できる。
また、地図上で指定した範囲の人口データを集計・分析できる機能などを、API連携によって柔軟に既存システムへ追加することができる。そのため、地域メッシュ(※3)に基づいたデータ集計だけでなく、商圏や到達圏に合わせて独自に範囲を設定して集計・分析をすることも可能だ。
さらに、BizXaaS MaPの技術を利用し、リアルタイム人口データの表示に加えて、多様な位置情報コンテンツや統計データ、売上・顧客情報などのデータを重ね合わせることができる。ビジネス環境の変化に適応するための、より高精度の需要・来客予測や、他社と差別化した独自戦略の検討に寄与する。
同サービスを活用することで、例えば小売・流通企業では、従来の過去の売上・来客数と統計データを基にしていた需要・来客数予測を人々の行動変容による人口変動を即座に捉え、発注・在庫管理・シフト管理の精度向上を実現するという。
また、製造業・卸売業においては街の人出状況をリアルタイムに把握することで、生産量・流通量の最適化を実現するほか、自治体・公共交通機関・イベントではリアルタイム人口データと利用者数などのデータを組み合わせて表示することで、感染予防に配慮した情報公開に活用可能とのことだ。
今後NTTデータは、2024年までに累計10億円の売り上げを目指すとしている。
※1 BizXaaS MaP:NTTデータが提供する位置情報コンテンツと業務APをワンストップで提供する地図配信サービス。
※2 モバイル空間統計 人口分布統計(リアルタイム版):ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報で、1時間前の人口分布を500mメッシュ単位で属性(性・年代と居住地)ごとに集計したもの。
※3 地域メッシュ:人口分布などの統計情報の比較を容易にするために使用する区画のことで、経度・緯度に基づき日本の国土を特定の大きさに分割したもの。
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