ホテル業界や会員制施設では、PCR陰性者プランやワクチン接種者プランなど、利用者の安全に配慮したプランを提供するサービスが増えているという。
一方、そうしたプランを実現するためには、チェックイン時の確認事項が増え、手間や対応時間の増加が課題となっている。
そこで株式会社日立製作所は、デジタル化された個人に関する情報「デジタルアイデンティティ」と、生体認証を活用した実証実験を都内ホテルで実施し、その検証結果を発表した。
具体的には、実証への協力に同意した日立および日立グループの従業員延べ50名を対象に、都内ホテルのチェックインの際、新型コロナウイルスの陰性証明やワクチン接種証明、会員証、予約情報といった、複数の提示・確認プロセスを、生体認証でまとめて行うことによる効果検証を、2022年2月14日~2月28日の間行った。
チェックイン時に提示する各種情報と生体情報は予め登録し、日立が開発中の「デジタルアイデンティティプラットフォーム」上で証明書情報と生体情報を紐づける。

これにより、チェックイン時には、フロントの認証装置に指をかざすことで本人確認ができ、生体情報に紐づけられたデジタルアイデンティティの情報がまとめて表示される。

この仕組みには日立独自の公開型生体認証基盤PBIを活用しているため、生体情報そのものを保管せず、復元できない形に暗号化することで、プライバシー保護とセキュリティを担保している。
なお、デジタルアイデンティティプラットフォームでは、3回目以降のワクチン接種登録や、最終接種やPCR検査からの有効期限の設定を行うことができ、システムを利用したい企業のポリシーや、国ごとの基準の違いに対応することが可能だ。
実証の結果、通常のチェックイン時間と比較して一人当たりのチェックイン時間を40秒以上短縮できるなど、書類やカード、スマートフォンなどを提示せずに各種証明書の提出を可能にした。
また、証明書自体をデジタル化し生体情報に紐づけることで、書類やカード自体の発行が不要になるといったメリットも確認された。
今後日立は、協力企業を幅広く募り、様々な会員制施設やのさまざまなシーンへの活用を進めながら、デジタルアイデンティティプラットフォームのサービス化を目指すとしている。
また、飲食、小売、アミューズメント、交通など、幅広い業種において、証明書や会員証だけでなく、アレルギー食材や苦手な食材の表示、ポイントカードや決済との連携なども行っていく予定だという。
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