NTTデータ、AIで建物のエネルギーを最適化する空調制御サービスを高度化

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、東京都が「ゼロエミッション東京戦略」を掲げるなど、官民を挙げた脱炭素化の取り組みが加速している。

しかし、企業が保有するオフィスビルや商業施設においてエネルギー効率を高めるシステムを導入しようとする際、大規模な機器投資や長期間の準備が必要となるケースが多く、費用対効果(ROI)が見えにくいことが経営層の投資判断を遅らせる課題となっていた。

こうした中、株式会社NTTデータは2026年6月30日、東京都の「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」において、「HUCAST AI空調最適化サービス」の高度化および提供モデルの見直しの実証を実施したと発表した。

同サービスは、建物内の温度や設備の稼働状況などのデータをもとに、AIが空調機器の運転を自動制御してエネルギー使用量を最適化するクラウド型のソリューションだ。

今回の実証では、室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型のAI予測制御を用いることで、快適な環境(PMV指標で90%の人が快適と感じる範囲)を維持しつつ、専有部エリアにおいて年間平均約13%のエネルギー削減効果と、同程度のCO2排出量削減効果を確認した。

NTTデータ、AIで建物のエネルギーを最適化する空調制御サービスを高度化
「HUCAST AI空調最適化サービス」の構成図

さらに、提供機器構成やAIモデルの最適化によって導入にかかる初期の費用負荷を最大43%削減したほか、導入プロセスの標準化により、これまで約3カ月かかっていた導入期間を最短1.5カ月へと大幅に短縮している。

そして、この削減効果を踏まえ、導入から1年以内の投資回収が見込める運用モデルを確立した。

また今回の実証では、空調設備単体の制御にとどまらず、冷凍機やボイラーといった熱源設備を含めた統合的な最適化についても検証が行われた。

その結果、建物全体の熱需要を満たしながらエネルギー使用量を削減する有効性が確認されており、建物の総合的な省エネ対策として機能することが実証されたとのことだ。

今後NTTデータは、今回の実証で得られた成果と確立した運用モデルをもとに、オフィスビルや商業施設、デベロッパー業界へ向けた本サービスの導入を本格的に拡大していく方針だ。