近年、局地的な大雨等が頻発し全国各地で浸水被害が問題となっており、特に市街地を流れる中小河川において、水位の上昇により水はけが悪化し建物や土地、道路が浸水する内水氾濫のリスクが高まっている。内水氾濫は、急激な水位の上昇により短時間で被害が拡大する恐れがあるため、河川水位のリアルタイムな状況把握と住民に向けた防災情報発信の重要性が高まっている。
NECプラットフォームズ株式会社は、中小河川向けに広域無線通信技術(LPWA)を活用して、河川に設置した水位センサーからリアルタイムに水位情報を収集し、クラウド上で可視化する「河川水位IoT監視パッケージ」を販売開始した。
同パッケージでは、水位センサー子局を通じて収集したデータがLPWA網を介して無線集約局(親局)へ送られ、そこで解析された水位情報をインターネットで住民に公開する。ネットワークの構築、水位センサー子局の設置、住民に公開するシステムの運営、保守までをワンパッケージ化し役務提供することで、短期間での導入・サービス開始が可能だ。詳しい特長は以下の通り。
- インターネットを通じて水位情報をリアルタイムに公開
- 導入から保守までをワンパッケージ化して短期間でサービス開始が可能
- LPWA網を構築して広域エリアを柔軟にカバー
- 河川水位測定に最適化した水位センサー子局で長期稼働を実現
収集した水位情報はクラウド上に蓄積され、住民が防災情報としてWEBブラウザを通じてリアルタイムに閲覧することができる。平時は1時間、大雨時は10分おきにデータが更新され、WEB画面上のマップから観測地点を選択してデータを表示し、現在の水位や水位の変化や注意水位、危険水位といった情報をグラフ化して提供する。
無線エリア調査からネットワークの構築、監視対象地点への水位センサー子局の設置、住民に公開するシステムの運営、保守までをワンパッケージ化し役務提供することで、短期間での導入と初期費用不要で低コストでのサービス運用が可能だ。また、機器監視システムで機器およびデータ通信の状態を24時間遠隔監視しており、異常や故障予兆を検出した場合はアラートがあがり、現地機器の遠隔操作や保守交換機材の発送など迅速に対応することができる。
IoT向けに有用な技術として注目されているLPWAを採用して無線網を構築する。LPWAは、低消費電力かつ広範囲でのデータ収集に適した無線通信技術であり、さまざまな地形や環境に合わせて柔軟に広域エリアをカバーする。
河川水位測定に最適化した水位センサー子局は、低消費電力設計により電源工事が不要で、内蔵電池だけで約5年の長期稼働を実現する。また、センサーは電波式(非接触式)を採用し、最大30m先の水面を測定可能だ。護岸への配線などが不要であるため、河川氾濫時にセンサーが流出するリスクを低減できる。さらに、実際の河川での長期検証に基づき独自開発した誤データ除去フィルター機能を備え、屋外環境での日射、気圧、汚れなどに影響されない測定性能を有する。

NECプラットフォームズは、同パッケージを今後5年間で中小河川を有する40自治体向けへの販売を目指すとした。
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