これまで災害時には、自治体職員が限られた人手で住民対応(通報対応、応急対策、避難所運営等)を行うとともに、避難所等の建物や給水ステーション等のインフラの稼働状況を目視で点検してきた。
また、関係機関への報告は電話・FAX・メール等で実施しており、早期伝達や迅速な情報連携に課題があった。
そうした中、日本電気株式会社(以下、NEC)と東村山市は、東京都が推進する「東京データプラットフォーム ケーススタディ事業」の一環として、災害時の情報収集・共有を目的に、IoTや都市OSを活用した技術実証「東京データプラットフォーム(TDPF)-東村山市都市OS間のデータ連携」を、2022年12月に実施した。
今回の実証では、IoTセンサにより自動で収集した被災状況等のデータを東村山市が実装する都市OS(FIWAREを活用)とTDPFに連携することで、関係機関へのスムーズなデータ連携の有効性を検証した。
ユースケースは「避難所の被災状況」と「災害時給水ステーションの開設状況」の2つで、検証の結果、災害時の情報収集・共有の効率化と迅速化が確認された。

避難所の実証では、東村山市内の避難所(市立小学校3校)に設置された傾斜計を傾けたのち、元の位置に戻すことにより地震の揺れを模擬的に再現。(トップ画参照)その上で、被災状況を電流センサやCO2・温湿度センサで自動検知する実証を実施した。
今回、東村山市内22か所の避難所のうち約2割にあたる5か所の建物を使用不能と仮定し、正常な建物から優先して点検を行い、迅速かつ効率的な避難所の開設を可能とすることにより、開設までに要する時間の27%削減を見込んでいるという。
災害時給水ステーションの実証では、東村山市が開設作業を行う、同市内の災害時給水ステーションにIoTセンサ(音声センサ、ドア開閉センサなど)を設置し、給水の状況を自動で検知する実証を実施した。

これまで、市職員から東京都水道局へ電話等で行っていた開設状況等の連絡を自動化することで、開設情報の連絡漏れや伝達ミスも防ぎ、報告業務フローの省略および、住民へ開設情報発信までの時間短縮効果が見込まれている。
今後NECと東村山市の二者は、センサの改良等の検討や、災害時だけではなく平時にも利用できるセンサによるデータ連携の検討を進めていくとしている。
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