Hexagonと富士通、自然災害や交通事故におけるデジタルツインを活用したユースケースを開発

Hexagon Safety, Infrastructure & Geospatial division(以下、Hexagon)と富士通株式会社は、2022年6月に締結した提携に基づき、デジタルツイン技術を活用した自然災害の被害予測を可視化するユースケースと、交通事故の危険性が高いスポットなどを改善策とともに提示するユースケースを共同開発した。

自然災害の被害を予測し可視化するユースケースでは、降水量データから洪水氾濫の範囲や影響を計算することで浸水範囲を可視化し、被害予測分析を行う予測モデルを共同開発する。(トップ画参照)

また、分析した被害予測をもとに、両社が地域の災害対策本部や災害拠点病院における災害対応計画の策定などを支援する。

交通事故の削減に寄与するユースケースでは、交通量や道路設計などの要因から衝突事故が発生しやすい危険性の高いスポットを特定したのち、改善策を提案するアプリケーションを両社共同で開発。行政・自治体、道路サービス事業会社の都市計画担当者や、道路管理者における交通計画の策定などを支援する。

Hexagonと富士通、自然災害や交通事故におけるデジタルツインを活用したユースケースを開発
交通事故データの可視化・分析の画面イメージ

今後は、行政・自治体、道路サービス事業者と実証実験を行い、2023年度中に同ユースケースのグローバル展開を目指すとしている。

なお、これらのユースケースは、Hexagonがラスベガスで開催するグローバルカンファレンス「HxGN LIVE Global 2023」にて、2023年6月12日に発表される。

ユースケースの概要

ユースケース1:自然災害の被害を予測し可視化

富士通のコンピューティング技術およびソフトウェア技術を利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」と、Hexagonのリアルタイムな地理空間アプリケーション「M.App Enterprise」を活用し、富士通の「デジタルリハーサル」技術を用いて、災害の脅威やそれに対応するための対策の効果をデジタルツイン上で事前に検証し、最適な施策を探索する。

最初の取り組みとして、洪水予測モデルと降水量データにより、高度な洪水氾濫計算を行う。これにより、可視化するだけではなく、災害拠点病院のインフラ被害予測、災害対応計画の策定、損害額の推定など、医療、金融、公共、流通といったそれぞれの業界が持つ課題・ユースケースを想定し、支援する。

今後、サービス化に向けて、このユースケースを基に実証実験を行い、得られた知見を活用し、機能強化を図っていく。さらに、気温や雨量を観測する気象IoTセンサや天気予報サービスと連携して、異常気象や自然災害発生時の安全な避難経路の確保やインフラ保護の支援を目指す。

ユースケース2:交通事故削減に寄与

Hexagonの可視化ツール「M.App Enterprise」と富士通の「Fujitsuマネージドインフラサービス」を組み合わせて、交通事故が多発している場所を可視化。交通量、道路設計や道路標識、およびその他の要因を分析することで、国際道路評価プログラム(International Road Assessment Programme:iRAP)が提案する、交通事故削減に向けた改善策「Road Safety Toolkit」に準じた交通事故削減に寄与する改善策を提示するアプリケーションを開発した。

例えば、交通量が少ないのに事故が多発しているスポットには、「スピードを規制する」「注意喚起の看板を設置する」「ガードレールにより歩行者と車両の通行区分を分ける」などといった複数の改善策を、費用対効果とともに提示可能だ。

これらを、行政・自治体、道路サービス事業会社の都市計画担当者や道路管理者へ提案し、導入時にコンサルティングサービスを実施することで、交通事故削減や安心安全な街づくりを支援する。

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