三菱電機株式会社は、再生可能エネルギー(以下、再エネ)電力の各拠点間での自己託送や蓄電システムの最適運用を通じて、各拠点の脱炭素化目標達成を支援する新型クラウドサービス型ソリューション「マルチリージョンEMS(エネルギーマネジメントシステム)」を活用し、異なる3つの電力エリアの4拠点を繋ぐ社内実証を、2024年3月から2年間行うと発表した。
「マルチリージョンEMS」は、三菱電機電力の市場向けパッケージ型ソフトウエア製品「BLEnDer」に、マルチリージョン型デジタル電力最適化技術を組み合わせた、需要家向けクラウドサービス型ソリューションだ。
需要家(企業)が自社拠点ごとに脱炭素化目標を管理することを可能とし、自己託送による拠点間の再エネ価値移転と環境価値証書調達計画の最適化や再エネ・蓄電システムの最適制御を実現する。
なお、環境価値証書は、再エネの発電によって発生する「環境価値」や温室効果ガスの排出削減効果を、承認機関の認証を通じて「証書」の形にしたものだ。現在国内では、非化石証書、Jクレジット、グリーン電力証書などがある。
再エネ価値管理においては、将来の炭素税などの導入や24/7 Carbon Free Energyの考え方が広がることを想定し、30分単位での算出、送電ロス考慮、蓄電システム内の再エネ価値色分けなど、厳密な環境価値管理にも対応している。
社内実証では、四国電力エリアの受配電システム製作所、関西電力エリアの系統変電システム製作所赤穂工場、電力システム製作所および中国電力エリアの福山製作所の4拠点を、「BLEnDer DEP」によりリアルタイムで連携する。
そして、4拠点の需要・再エネ発電量などの情報をリアルタイムで収集し、再エネ電力の拠点間自己託送・蓄電システム運用などの全体最適化の効果や、拠点ごとの脱炭素化目標に対する運用計画の精度を検証する。
また、リアルタイムデータに加え、日本卸電力取引所(JEPX)や電力広域的運営推進機関(OCCTO)、再エネ発電所や蓄電システムの動作をデジタルツイン上で模擬することで、年間、月間、週間から翌日にわたる予測・計画業務および当日の計画修正・時間前取引・蓄電システム制御といった一連の業務を検証する。
さらに、30分単位(リアルタイムデータの30分積み上げ値)での電力および再エネ価値の計画に対する実績精度の検証や、計画から運用、事後精算までの一連の業務フローを検証する。

加えて、四国電力エリアにある受配電システム製作所に、需要家の自家発電設備などから電力会社の電力系統に電気を流す「逆潮流」が可能な太陽光発電と蓄電システムを追加導入し、余剰分の再エネ電力を関西電力エリアの系統変電システム製作所の赤穂工場に自己託送することで、電力取引市場を介したエリア間での再エネ自己託送の実運用業務を検証する。
三菱電機は、この社内実証で得られる成果を活用し、E&Fソリューションとして様々な企業に提供し、カーボンニュートラルの実現に貢献するとしている。
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