PwC Japanグループ、サステナビリティ経営成熟度診断サービスに生成AIと診断項目を追加

PwC Japanグループは、同社が提供する「サステナビリティ経営成熟度診断サービス」をリニューアルし、生成AIの活用と、最新のサステナビリティ動向を反映した診断項目を追加した。なお、新サービス名は「Sustainability Value Assessment」で、2024年6月から提供を開始する。

「Sustainability Value Assessment」は、企業のサステナビリティ経営の現状把握を支援するサービスだ。企業のサステナビリティ経営による活動の将来的な財務影響を可視化するサービス「Sustainability Value Visualizer」や、その他のサステナビリティ経営支援と組み合わせて、経営戦略の策定から実行までの支援を提供する。

このリニューアルの背景には、企業のESG関連情報開示の多様化と複雑化、そして生成AIを代表とするテクノロジーの活用拡大がある。

企業のESG関連情報開示の要請は年々高まり、サステナビリティ開示基準の策定機関である「ISSB」や欧州のサステナビリティ報告基準「ESRS」といった国際的な動向だけでなく、国内でも有価証券報告書でのTCFD開示や人的資本に関する指標の開示の拡充が求められている。

だが、情報の増加に伴い、ステークホルダは内容の理解に時間と手間がかかる問題が生じている。これに対処する手段として、「Sustainability Value Assessment」に生成AIが導入された形だ。
 
ただし、生成AIの導入だけでは診断の価値を最大限に引き出すことは難しい。そこでPwC Japanは、サステナビリティに関する知見を活用し、企業が保有・公開している文書の収集・理解、診断に関連する文書箇所の特定と診断の実施、診断レポートの作成という工程でAIと知見を組み合わせ、診断を可能にした。

PwC Japanグループ、サステナビリティ経営成熟度診断サービスに生成AIと診断項目を追加
「Sustainability Value Assessment」のサービスフロー

また、生成AIを使うにあたり、評価ポイントをAIが判断しやすいように修正する必要性が生じたため、診断項目の見直しも同時に実施したのだという。

「Sustainability Value Assessment」を利用する企業は、自社の統合思考経営の診断を短時間で行うことができるほか、全体的な平均値や業界の特徴、ベストプラクティスとの比較情報を得ることができる。

なお、「Sustainability Value Assessment」は、「Standard」と「Advanced」の2段階で提供される。

「Standard」は、企業の公開情報に基づいて診断を行い、業界平均値とのスコア差を見ることが可能だ。

一方「Advanced」は、企業の担当者へのヒアリングなどを踏まえた診断の精緻化、競合他社との比較の充実、診断結果からの改善施策の提案という三つの要素が追加されている。

サービス提供の体制としては、ステナビリティ経営へのトランスフォーメーションを総合的に支援する専門組織「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス」が中心となり、企業のAI活用を支援する「AI Lab」と協働している。また、企業の開示支援の知見を有する「サステナビリティ・アドバイザリー部」とも連携しており、これにより、総合的なアドバイスが可能になったとしている。

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