愛知県豊田市は、自動車関連産業が地域経済の中心を占めている製造業都市だ。
近年、製造業に対する資源循環を重視した政策が世界的に進められており、EUでは2030年頃までに新車生産に必要なプラスチックの25%以上を再生プラスチックとし、そのうち25%以上を廃車由来の再生プラスチックとすることを義務づける規則案が検討されている。
日本国内においても、製造業における再生プラスチックの利用計画の策定が義務化される方向性が検討されており、包装・容器、自動車、電気機器、建材などの分野が規制対象になる可能性がある。
しかし、日本国内では廃プラスチックの多くがサーマルリサイクル(熱回収)として焼却されており、再生材の取引においても、売り手と買い手企業間でのマッチングや価格設定が十分に最適化されていないという課題がある。
こうした中、株式会社TBMと豊田市は連携し、TBMが提供する再生材や再生原料の調達を支援するプラットフォーム「Maar再生材調達」を活用した実証実験を開始した。
「Maar 再生材調達」は、製品の持続可能性に関する情報を電子的に記録しているデジタルプロダクトパスポート(以下、DPP)に適応した、再生材調達を支援するプラットフォームだ。
製品・成形メーカなどの再生材等を利用して製品を製造する企業と、廃プラ排出企業・リサイクラー・コンパウンダーなどの再生材などを販売する企業が、同サービス内で売買したい再生材の要求事項データを登録し、TBMのセールス人材が再生材の各取引をサポートすることで、再生材取引のマッチングを行うというものだ。
今回の実証実験では、豊田市内の事業者に対し、「Maar 再生材調達」への無償登録を促進し、再生材流通の統計データの可視化を実施する。
そして、市内企業間での再生材取引を、プロフェッショナル人材がサポートし、取引マッチングを最適化する。
その後、市内企業を対象に、再生材の調達及び販売のニーズに関するアンケート調査を実施する。
上記の取り組みを通じて得られた統計データを基に課題を分析し、具体的な解決策を検討する。

この実証実験により、豊田市内企業による安定した再生材の調達や販売を支援し、地域産業の発展に寄与する資源循環インフラの構築を目指す。
なお、この実証実験は、TBMが参画する「豊田市つながる社会実証推進協議会」の取り組みとして実施されるものだ。
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