IDC Japan株式会社は、2020年第3四半期(7月~9月)のウェアラブルデバイスの世界および国内における出荷台数を発表した。
これによると、2020年第3四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比35.1%増の1億2503万台となった。このうち、腕時計型は3,290万台の出荷で前年同期比36.2%の増加、リストバンド型は2,193万台の出荷で前年同期比9.4%の増加となり、耳装着型デバイス(音声アシスタント対応イヤフォン・ヘッドフォンなど)は6,975万台で前年同期比47.7%の成長となった。耳装着型デバイスは市場全体の55.8%を占めている。
米国IDC Mobile Device Tracker のリサーチマネージャー ジテシュ・ウブラニ氏は「多くの国が第3四半期に外出等の規制緩和と経済活動の開放を行ったことでアウトドア活動が活発化し、ウェアラブルの需要も高まった。一方で、多数のベンダーが提供するデバイスの価格帯の幅が広がり、これは誰もが利用できるものがあることを意味している」と述べている。
また、米国IDCのモバイルデバイスならびにAR/VRのリサーチディレクターであるレイモン・リャマス氏は「二桁の成長は強い需要を示すだけでなく、多くの人が新興市場と先進市場の両方で初めてウェアラブルデバイスを手にしたことを示唆している」と述べた。
続けて「このことが意味するのは、今後はウェアラブルデバイスのユーザーのインストールベースが拡大し、数年後にはデバイスの買い替えの機会が増えるということである。耳装着型や腕時計型あるいはリストバンド型のように複数のデバイスを所有しているユーザーもいるため、ウェアラブル市場は大きな需要を持続的に享受できるだろう」と述べている。
一方、国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で176.3万台となり、前年同期比2.8%の増加となった。腕時計型デバイスは62.2万台で前年同期比9.7%増、リストバンド型は17.5万台で前年同期比149.4%増、耳装着型デバイスは87.6万台で前年同期比9.2%減となった。
IDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓氏は「緊急事態宣言が終了した第3四半期だったが、都市部では新型コロナウイルス感染症拡大の第2波が起きたため、市場の拡大は小幅なものにとどまった」とコメントしている。
さらに「ウェアラブルデバイス市場が今後も着実な成長を続けるためには、ネクストノーマルの生活環境においてユーザーの健康と安全を確保するのに資するものであることはもちろん、ユーザーの生活における利便性を具体的なユースケースを通じて示していくことが必要だろう」と述べた。
世界市場におけるトップ5カンパニー別動向(世界市場)は以下の通り。
- アップル
- Xiaomi
- Huawei
- サムスン
- FitbitとBoAt
アップルは同四半期33.1%のシェアで市場を牽引した。AirPodsとApple Watchは、パンデミック需要に牽引されて大きな人気を博した。また、AppleはApple Watchのラインアップを拡充しており、Watch SEなどのミドルレンジの新製品を含め、複数の価格帯でデバイスを提供した。
Xiaomiは2位で1,700万台を出荷し、そのうち1,280万台はリストバンド型だった。低価格帯と海外展開が相まって、前年比26.4%増と躍進した。
Huaweiは1,370万台の出荷で3位にランクインした。米国の制裁に直面し、中国に出荷が集中しているにもかかわらず、複数の市場で成長を牽引することができた。しかし、同社の時計はグーグルに依存しておらず、部品の多くは米国以外のベンダーから調達しているため、同社のウェアラブル事業へのマイナスの影響は他の分野に比べて少ないとIDCは分析している。
サムスンは、複数のブランドで耳装着型デバイス市場を攻める戦略が功を奏し、ウェアラブル市場で4位にランクインした。同四半期には、スマートウォッチが260万台、耳装着型デバイスの出荷台数は840万台に達した。
韓国の電子機器メーカーである同社は、スマートフォンとウェアラブルのバンドル化を継続しており、少なくともスマートウォッチについては、商業用セグメントへの投資を継続しているが、これはスマートウォッチブランドの中では非常に少ない戦略とのことだ。
FitbitとBoAtは、それぞれウェアラブル市場の2.6%を占め、5位に同率で並んだ。Fitbitは、第3四半期末近くに発売した新製品の評価が比較的高く、旧モデルの値下げもあり、トップ5圏内にとどまっている。
一方、BoAtは、インド市場(ウェアラブル市場として急成長している市場)にのみ注力し、主に耳装着型デバイスを販売している。インドのロックダウン後も、同社は強力なマーケティングキャンペーンを行い、地元のクリケットチームとのタイアップなどの恩恵を受けている。同社の野心は依然として強いものの、多くの競合他社のようなグローバルなプレゼンスとサプライチェーンには欠けているとしている。
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