富士通、自律分散型社会を支えるWeb3の中核を担うブロックチェーン連携技術を提供開始

近年、巨大企業に情報収集と発信の権限が集中するインターネットの中央集権化が問題視されつつあり、デジタル空間上で個人や企業が相互に安心してつながることができる自律分散型社会の実現に向けてWeb3が注目されている。

Web3を構成するブロックチェーン技術は十分な処理性能の確保などの技術的な課題が未解決であり、独自の機能強化を図った様々なブロックチェーン基盤が構築されたため、今後、業界横断的な企業間コラボレーションを推進していくためには、異なるブロックチェーン同士を連携して情報をやりとりできる相互運用性(インターオペラビリティ)が不可欠である。

富士通株式会社は、自律分散型社会を支える「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」のデータトラスト基盤「Data e-TRUST」に、複数のブロックチェーンシステムを容易に連携できる富士通独自の「ConnectionChain」技術を試験的に統合することで、複数の経済圏を柔軟かつ安心安全に連携できる試作環境を、富士通グローバルパートナー共創プログラム「Fujitsu Accelerator Program for CaaS」に参画するパートナーを対象に、2023年6月30日から提供を開始する。

Fujitsu Web3 Acceleration Platformでは、コンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service」(以下、CaaS)上でData e-TRUSTを提供している。今回、Data e-TRUSTに新たに追加するConnectionChainは、複数の外部のブロックチェーンが一つの整合性を持ったシステムとして動作させることを可能とする「拡張スマートコントラクト」を自律動作させる特長を有している。

異なる種類のブロックチェーンを連携するためには、各ブロックチェーンの仕様の違いを吸収する連携部の開発が必要だが、ブロックチェーンの種類ごとに開発が必要となるため、インターオペラビリティ確保を開発テーマにHyperledger Foundation(※1)にて活動している「Hyperledger Cacti」で開発した多様な分散型台帳基盤へ連携するためのプラグイン(以下、Cacti-LP)を取り込むことで、この開発を効率化している。

これにより、Hyperledger Cactiがサポートする多様なブロックチェーンへの連携がData e-TRUSTから可能となり、新たなWeb3サービスの構築が容易となる。

また、Hyperledger Cactiをサポートする他社ブロックチェーンから富士通のData e-TRUSTへ連携するためのCacti-LPも開発し、そのソースコードをHyperledger Cactiの開発コミュニティに寄贈することにより、Hyperledger Cactiを介した外部パートナー企業とのWeb3サービス提供を加速する。

今回の提供にあたり、富士通はアジア開発銀行やブロックチェーンベンダーのConsenSys Software Inc.(以下、ConsenSys)、R3、ソラミツと協力し、各国の中央銀行や証券決済機関での利用を想定して、海外送金と証券の引き渡しを同時に行う、クロスボーダー取引(※2)の効率性や安全性の向上を目指すプロジェクトにおいて、ConnectionChainにより各社のネットワークを相互に連携するシステムを構築し、動作確認に成功した。

同プロジェクトは、欧米のグローバルセンター経由による時差や市場取引時間の相違などの理由から、決済に最低でも2日はかかっているASEANや日中韓地域におけるクロスボーダーの証券取引の効率性や安全性の向上を図る実証実験である。

具体的には、取引に関わる金融機関全体で守られている現行の取引ルールを模した試験的なブロックチェーン環境上に、法定通貨2つの銀行残高を管理する台帳と、証券の所有権を管理する台帳を実際に構築し、ConnectionChainによって相互連携させる実験を行い、クロスボーダー取引の実現を確認した。

※1 Hyperledger Foundation:米国の非営利団体「The Linux Foundation」の傘下にある、ブロックチェーンオープンソースコミュニティ。
※2 クロスボーダー取引:国境を越えて複数国の間で行われる取引。

プレスリリース提供:富士通

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