株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、画像認識AIを用いて、遠隔から建設現場を仮想的に巡回できるシステムにて、現場作業の段取りを妨げる資材を未然に検出し、作業を阻害する資材の移動指示などを作業員に共有する実証実験に成功したことを発表した。
このシステムは、あらかじめ利用期間を設定した資材ヤード、工事区画、搬入口などの建設現場のエリア(以下、対象エリア)において、画像認識AIを用いて作業を阻害する資材を検出するとともに、作業員へ作業を阻害する資材に関わる対応事項および、対応期限を共有する機能を提供する。
具体的には、5分ごとに固定カメラにて撮影する対象エリアの画像から、画像認識AIを用いて資材を検出し、登録済みの対象エリアの情報と利用期間を照らし合わせる。
そして、作業を阻害する資材か否かを判定し、必要に応じて作業員に移動場所や移動期日を添えて、対応を指示する。
実証実験では、建設現場の搬入口とエレベータ前にそれぞれ固定カメラを1台ずつ設置し、現場から離れた場所にあるパソコンから、システム上で作業を阻害する資材を検出した。

具体的には、建設現場にロードコーンを一定間隔に設置し、画像認識AIを用いて検出したロードコーンがシステム上の建設現場の図面に、正しい位置で表示されたことを確認した。
また、画像認識AIにより検出した資材に対し、空間予約との競合を確認の上、作業を阻害する資材について、他の作業員に移動場所や移動期日などを添えて対応を指示するとともに、作業員間で作業指示を共有できることを確認した。
その結果、検出した各資材に対して作業指示を作成するとともに、作業指示内容を作業員が閲覧できること、作業指示に対する対応状況の更新や蓄積ができることが確認された。

また、システムが資材として検出した物体のうち、実際に資材であった確率(適合率)が90%以上、実際の資材のうち、システムが資材として検出した確率(再現率)が80%以上で、遠隔から建設現場の段取りを妨げる資材を未然に検出する技術の有効性が確認された。
今後ドコモおよびNTT Comは、このシステムを高度化した上で、NTT Comが提供する「ドコモ建設現場IoTソリューション」の、建設現場の空間調整や段取り業務を効率化するソリューションである「段八エリア」における新しい機能として、2024年度の実用化を目指す。
さらに、デジタルツインコンピューティングを活用して、現場のデジタルツイン構築も行う予定だ。
なお、この実証実験は、ドコモがパートナーとともに人々の生活がより豊かになる技術の価値検証を行う「ライフスタイル共創ラボ」の取り組みの一環で、さまざまな産業分野で活用を可能とする「イノベーション共創基盤」の開発も行っていくとしている。
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