東武鉄道株式会社は、グループのポイントサービスである「TOBU POINT ID」を活用したCRM高度化を本格化させるため、株式会社DATAFLUCTの新サービスであるマーケティングAIエージェント「Airlake CDP Agent」を導入することを決定した。
東武鉄道における顧客コミュニケーションのデジタル化は、2020年11月の「TOBU POINT」サービス開始から段階的に進められてきた。
それまでは、クレジットカード会員に限定されていたポイントの対象を、現金やPASMOを利用する層へと広げ、さらには乗車ポイントである「トブポマイル」やECモール「TOBU MALL」、特急券のチケットレスサービスなどとのID統合を順次進めることで、グループ横断での顧客行動を単一のIDをキーとして可視化できる環境を着実に整えてきた。
さらに2025年5月には東武カードをリニューアルし、グループ外の顧客行動データをも捕捉できる強力なインフラを構築した。
こうしてデータ基盤の整備によって顧客の解像度が高まった一方で、次のマイルストーンとして浮上したのが、ビジネスを担う現場の社員自らが、個別の高度な分析技術に依存することなく、そのデータを活用して販促施策を企画・実行し、検証できる自律的な体制の構築であった。
そこで今回「Airlake CDP Agent」を導入。「Airlake CDP Agent」は、顧客データからAIが顧客プロファイルを生成し、狙うべきセグメントの抽出、キャンペーン反応予測、A/Bテストの設計、施策実行後の振り返り、次施策の提案までを支援するマーケティングAIエージェントだ。

まず、複数の顧客接点に分散したデータを、顧客IDを軸に統合・名寄せした。生のデータを無秩序に集約するのではなく、顧客IDを結合キーとしてデータをつなぐ設計とすることで、プライバシーに配慮しながら横断的な顧客理解の土台を整えた形だ。
そして、アプリ会員データや自動改札データ、実際の店舗での購買データを顧客IDを軸にシームレスに結合し、AIが自動的に顧客プロファイルを推定してタグ付けする仕組みを構築した。
加えて、「月別×曜日別×時間帯別」で表現される336パターンの動的属性と1,000以上の行動タグをAIモデルで自動生成することで、キャンペーンに対する反応確率の事前予測に基づいた販促活動をビジネス部門主導で自律的に推進していく。
具体的なタグ設計では、購買データの基礎分析を土台に、青果や魚介類などの購入金額が占める比率が高いユーザに「健康志向」というインサイトタグを自動付与するほか、「簡便志向」や「節約志向」といった購買パターンに基づく特徴づけを実施する。
これに「特定の沿線駅の利用状況」といったリアルな行動データを掛け合わせることで、鉄道と商業が高度に融合した東武鉄道ならではの多角的な顧客プロファイルがAIモデルによって自動生成される。
さらに、過去の蓄積データに基づき、施策ごとのキャンペーン反応確率を事前に予測するモデルを組み合わせることで、最も反応が見込まれる顧客群を優先的にセグメント化し、関連性の低い不必要な通知配信を抑制しながら高い販促効果を獲得できるアプローチを実現している。
「Airlake CDP Agent」の導入に際しては、既存のCDPやCRM、データウェアハウスを全面的にリプレイスすることなく、今あるデータ蓄積環境にAIによる判断・予測を担うアプリケーションレイヤーを追加できる「コンポーザブルCDP」の構成をとっている。
これにより、過去のデータインフラ投資を最大限に活かしながら、AIによるセグメント作成や施策提案、科学的なA/Bテストの設計支援といった高度な意思決定機能を短期間かつ合理的なコストで拡張することに成功した。
セグメント自動作成機能においては、「売上最大化」「離脱防止」「新商品の初回購入促進」「休眠顧客の再活性化」などの目的を設定することで、AIが売上インパクトの高い顧客群を自動的に発見・抽出する。

東武鉄道では今後、このAI顧客プロファイリングを活かし、例えば鉄道を日常的に利用していながらも駅周辺のグループ商業施設やサービスの利用実績が少ない顧客に対する利用促進キャンペーンや、有料特急券のピンポイントな購買促進といった、具体的なクロスユースケースでの実践と効果検証を進めていくとしている。

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