パナソニックHD、介護現場で健康変化の兆しを捉えるAI技術「予兆ソリューション」を開発

パナソニック ホールディングス株式会社(以下、パナソニックHD)は、介護施設で暮らす高齢者の健康状態の変化をセンサデータとAIで早期に捉え、データに基づく気づきを提供し、介護職員のケア業務を支援する「予兆ソリューション」を開発した。

「予兆ソリューション」は、センサデータを活用し、一人ひとりの健康状態の変化の兆しを捉える「健康状態変化解析AI」と、解析結果の根拠や観察のポイントを整理して提示する「レポート生成AI」で構成されている。

パナソニックHD、介護現場で健康変化の兆しを捉えるAI技術「予兆ソリューション」を開発
予兆ソリューションの概要

「健康状態変化解析AI」では、心拍数、呼吸数、体動状況、睡眠状況、ベッド在状況など、見守りセンサから得られる生体情報・生活情報を活用し、高齢者一人ひとりの平常時の状態を基準に、健康状態の変化の兆しを解析する。

約2,000人を対象とした性能評価では、高齢者一人ひとりについて、日ごとの統計解析に加え、前日・前々日との差分を特徴量として解析した。個人の平常時との違いを抽出することで、目視や本人からの自己申告だけでは把握が難しい変化についても、状態確認のきっかけとなる情報を提供できる可能性が示唆された。

具体的には、過去の介護記録に健康状態の変化が記録されていたタイミングを、健康状態変化解析AIが捉えた割合を示す再現率は89.4%、健康状態の変化が記録されていないタイミングで「変化あり」と評価した誤報率は10.5%となった。

また、過去の介護記録を用いて、当時の状況や要因を振り返りながら傾向を整理する「後ろ向き分析」では、健康状態の変化が記録されていた事例において、記録時点より前からセンサデータ上の変動傾向が確認された。

一方「レポート生成AI」は、健康状態変化解析AIが捉えた健康状態の変化について、根拠となるセンサデータや過去の状態との比較を分かりやすく示す。

レポートは、変化傾向や観察のポイントを整理した文章およびグラフで構成されており、データの読み取りにかかる負荷の軽減や、多職種間での情報共有を支援する情報としての活用が期待される。

パナソニックHD、介護現場で健康変化の兆しを捉えるAI技術「予兆ソリューション」を開発
レポートのイメージ

そのほかの特徴としては、複数のセンサデータを組み合わせて活用することが可能な点だ。特定の見守りサービスやセンサに依存せず、すでに介護現場で普及している見守りシステム上で活用できる共通基盤として、機器ごとに異なるセンサ信号の正規化・特徴抽出を進めることができる。

将来的には、適用可能な見守りシステムの拡充を目指すとしている。

そして、パナソニックHDは、同研究開発の有用性と運用性を検証するため、2026年10月から社会福祉法人ユーアイ二十一と協力し、実証実験を開始した。

この実証では、健康状態変化解析AIによる通知と、その根拠および観察のポイントを示すレポートが、現場スタッフによる状態確認やケア判断にどのように活用されるかを確認し、ケアの参考情報としての有用性について検証を進める。

今後は、実証実験で得られた知見をもとに、解析手法やレポート内容の改善を図るとともに、見守りサービス事業者をはじめとする社外パートナーとの協業を拡大していく方針だ。