フィリピンは、日本と同じく台風・地震・火山などによる自然災害に多く見舞われ、気候変動に対して脆弱な国のひとつとされている。フィリピン政府は毎年災害に備えた予算を計上しているものの、現場では情報システムや設備が不十分と言わざるを得ず、技術的イノベーションによる新しい防災対策が切実に求められている。
株式会社Specteeは、AIリアルタイム防災・危機管理サービス「Spectee Pro」のフィリピンへの展開を計画する企画提案「フィリピン国 SNS情報を活用したAIリアルタイム危機管理情報システムに係る普及・実証・ビジネス化事業」が、独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)の「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択されたことを発表した。
Spectee Proは、クラウド上で提供されるSaaS型のサービスで、SNSや気象情報、自動車のプローブデータ、ライブカメラなどを解析し、世界で発生する災害や危機を、迅速に収集、可視化、予測することができる。顧客のシステム開発などの初期投資は不要で、インターネット環境があれば手軽に導入可能だ。大規模な情報システムを開発することに比べると負担は小さく、フィリピンの地方自治体でも導入が容易なものとなっている。
中小企業・SDGs ビジネス支援事業は、開発途上国の課題解決に貢献し得る日本の民間企業の海外展開を支援するもので、JICAが政府開発援助(ODA)を通じて築いてきた開発途上国政府とのネットワークや信頼関係、ノウハウ等を活用し、民間企業と連携して価値の共創に取り組む。
Specteeは2022年より約1年間にわたり、同事業の案件化調査を通じて事業構築のフィージビリティ・スタディを行っており、今回の採択を受けて、フィリピン向けにSpectee Proの試行的なサービス提供を計画している。当初は公共セクターを対象に提供し、利用者のフィードバックをもとに現場のニーズに沿った機能改良を進めていく計画としている。同時に、報道機関やその他民間企業への導入も進めるとのこと。
現状、フィリピンでは災害時に必要な情報を集める仕組みが確立されてないところが多いため、Spectee Proを導入することで、防災対応において急速な進歩をもたらすことができるとSpecteeは考えている。また、フィリピンを皮切りに、その他のASEAN諸国、アジア、欧米へと展開していくことを計画している。
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