Qlik Technologies Inc.は、同社が提供するデータ統合および分析クラウドプラットフォーム「Qlik Cloud」上で提供される新たな「エージェント体験(Agentic Experience)」のプライベートプレビューと、サードパーティ製AIアシスタントとの連携を可能にする「Model Context Protocol(MCP)サーバ」の提供計画を発表した。
今回発表された機能は、生成AIと分析エンジンを融合させることで、BIツールによる数値分析(構造化データ)と、契約書や社内規定などの文書(非構造化データ)を統合的に扱える環境を提供するものだ。
新しいエージェント体験は、統合型会話インターフェース「Qlik Answers」を通じて提供される。最大の特徴は、Qlikの分析エンジンによる計算能力と、非構造化ドキュメントからの情報抽出、そして大規模言語モデル(LLM)の推論能力を、ガバナンスが効いた単一の環境で統合した点だ。
ユーザが自然言語で質問を投げかけると、専門のエージェントが連携し、データの分析結果と関連する文書のコンテキストを組み合わせて回答を生成する。この際、回答の根拠となる出典(引用情報)や、分析の推論ロジックが明示されるため、ブラックボックス化しやすいAIの回答に対し、ビジネス利用に耐えうる透明性と信頼性を確保している。
また、Qlik Cloud上に常時表示されるサイドパネルを通じて、ユーザの作業状況をAIが把握し、文脈に応じたサポートを行うことで、分析作業の生産性向上が期待される。
併せて発表された「MCPサーバ」は、外部のサードパーティ製AIアシスタントが、Qlikのデータや分析エンジンへアクセスすることを可能にする規格である。
これにより、企業が普段利用している外部のAIツールやチャットボットから、Qlikが管理する信頼性の高いデータ製品や分析インサイトを直接呼び出すことが可能となる。
「MCPサーバ」を介することで、ガバナンスや人の監視下にある安全なデータ利用環境を維持したまま、AIエコシステム全体でのデータ活用が促進される。
Qlikのデータ分析事業部ジェネラルマネージャーであるブレンダン・グレイディ氏は、「企業経営層が求める『投資対効果(ROI)』『意思決定のスピード』『リスクとコンプライアンスの遵守』という3つの要件に対し、本機能が単一の統制された会話環境を提供することで応える」としている。
また、先行して体験したH.&J.Brüggen KGのデータ&アナリティクス部門長は、「BIの数値データと、契約書やポリシーなどの文書条件を紐づけて理解する必要がある現場において、情報源が整理された仕組みが有効である」と評価している。
なお、新たなエージェント機能は、Qlik Cloudキャパシティモデルを利用する顧客向けにプライベートプレビューとして提供が開始されており、MCPサーバとともに2026年初頭の一般提供を目指しているとのことだ。
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