金融機関の法人営業において、顧客ごとの精緻な提案書作成には膨大な社内データや外部情報の収集・分析が不可欠であり、担当者の大きな業務負荷となっている。
さらに、機密情報の厳格な管理が求められるため、情報の積極的な利活用とセキュリティの両立が長年の課題とされてきた。
こうした中、株式会社三菱UFJ銀行は2026年2月19日、株式会社LayerXが提供するAIプラットフォーム「Ai Workforce」を活用し、AIエージェントの利用に最適化された独自のデータ基盤および「提案書自動生成機能」の本格稼働を開始したと発表した。
同行は2024年10月より、法人営業担当者ら約500名を対象に同プラットフォームを導入し、生成AIによる自動マスキング技術などを活用してセキュアなナレッジ共有環境を構築してきた。
今回の取り組みは、この「過去の成果物を探す」段階から、生成AIを用いて「行内外の最新データを組み合わせたデータ分析・資料生成」を行う新たなフェーズへと高度化するものである。
同行内の膨大なデータを集約したビッグデータ基盤とAIプラットフォームを強固なガバナンスのもとで接続し、現在では2,500名の行員が活用する全社的なシステムへと拡大している。
AIエージェントはユーザの依頼に基づき、最新の取引実績や外部データベースといった特定のソースから自律的に情報を取得・整形する。
参照元を限定することで、生成AI特有のハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぎ、正確なデータに基づいた精緻な提案書を自動で生成する仕組みだ。
同機能のビジネス上の利点は、生成される資料が三菱UFJ銀行独自のフォーマットに完全準拠している点だ。
スライドマスタやカラーコード、グラフの描画ルールまでが忠実に再現されたPowerPoint形式で出力され、グラフ自体も画像ではなくネイティブオブジェクトとして生成される。
これにより、AIによる一次作成後に、行員が自ら手動で数値を微調整したりデザインを修正したりすることが容易となる。
同行は同機能の活用により、提案資料の作成にかかる時間を最大9割削減し、銀行全体で年間約20万時間という業務時間の創出を目指すとしている。
今後は、今回構築したエージェントデータ基盤を提案書の作成にとどまらず、財務分析の自動化や契約書のリスク審査支援、行内照会応答の高度化といった広範な業務プロセスへ適用していく計画だ。
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