ロボティクスとAIを活用したプロダクト ーIFA2018レポート3

ドイツ、ベルリンで開催されている、IFA2018。今回は、「家電製品におけるイノベーションは起きるのか?」というテーマをもって展示を取材した。

第一回で、AIや音声認識エンジンの類の活用を、声高らかにアピールしているプロダクトはほとんどないことを説明した。

しかし、そうは言わなくても、「様々な要素技術の進化」を利用可能な範囲で活用している、「Co-innovation」の例について第二回で紹介している。

第三回となるこのレポートでは、AIやロボティクスを活用したプロダクトを紹介していく。

LGの多機能ロボット

今回、キーノートを担当したLGだが、そのブースでは中央に様々な用途のロボットが展示されていた。(記事トップ画像)

これらのロボットは、いずれも画像認識や音声認識エンジン、ロボティクス、自動走行の技術をコアとして、自律走行するものだ。

左上から、「お掃除ロボット」「サービスロボット」「ポーターロボット」、左下から「ロボットスーツ」「ガイドロボット」「カートロボット」と、なっていて、これまでも様々な企業から似たコンセプトで登場しているものだ。

これらのロボットを構成する要素技術は似たものが多いため、こうやって共通ラインナップを作ることもLGには可能ということだろう。

実際のヒトと協働する現場では、技術面だけでは解決できない問題も潜んでいることから、それぞれのロボットの実用化が待たれている。

家ナカで活躍するロボット temi

IFA2018

LGのような大きな企業でなくても、ロボットを制御するための要素技術は様々なところから提供されているため、スタートアップでもCo-innovationすることは可能だ。

「temi」は、上部にタブレットPCのようなものが配置され、下部にライダー(LIDER: パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するもの)が付いていて、自走するロボットだ。

このロボットは、とても賢い。

上部のボタンを押し、対話モードにすると、「temi, please tell me the weather」というと天気を教えてくれる。こういった機能だけだと、Amazon Echoとなにが違うの?となるところだ。

しかし、Amazon Echoのようなプロダクトを参考にして、インテリジェントな家庭用ロボットとはどういうことができるべきか?ということに集中してプロダクトを生み出しているところが面白い。

実はこのタブレットは上部に付いたカメラで対話する相手の顔を捉えているので、例えばしゃがむと画面も下を向き、歩くとついていくのだ。

そして、特徴的なのが、ビデオ電話を活用して遠隔操作ができることなのだ。ビデオ電話モードにしておくと、スマートフォンでそこに映るヒトをタップすると、temiは、その後はそのヒトを追いかける。

もちろん、その人とも話すことができるし、スマートフォンで左右にスワイプスすると、temiは体を回転させて周りの映像を見せてくれる。

つまり、外出先からラジコンのようにtemiを操作し、家のナカを見たり、住人と話したりすることができるのだ。

洗濯物をきれいにたたんでくれるロボット FoldiMate

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FoldiMateは、洗濯物を素早くたたんでくれるロボットだ。Tシャツや、パンツ、タオルなど、様々な洗濯物を、ロボットのつまみでつまむだけなのに、一瞬でキレイにたたんでくれる。

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たたまれた洗濯物は下部に配置されたストッカーに積み上がっていくので、取り出すだけで良い。

この商品、米国メインでの販売が開始されるということだが、すでに自社ウェブサイトでのオーダーが溜まってしまっている状態なのだという。

面倒だがやらないといけない、たたみ作業だけをロボットとして切り出したところが、支持される理由なのかもしれない。

74言語に対応し、見やすくなった翻訳機 POCKETALK

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以前、CESレポートで紹介した、日本のソースネクストが提供する、自動翻訳機ポケトークの新しい製品が展示されていた。

画面も大型化され、とても操作性も良い。中にはGLOBAL SIMが入っているので、買って箱を開けたらすぐ使い始められるというところも売りなのだという。

イヤホン型同時通訳機 ORFEO

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対話者がそれぞれの耳に、ORFEOをつける

イヤホン型同時通訳機 ORFEOは、二個のイヤホンが一つのケースに入っていて、それぞれのイヤホンを会話をする二人がそれぞれつけるというタイプの翻訳機だ。

使い方は、指でイヤホンを抑えて、ビープ音がなったら話し始める。

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話し終わったら指を話す。すると、相手のイヤホンに翻訳した音声が流れるのだ。

何語から何語に翻訳するかは、あらかじめスマートフォンで設定しておく。

技術的には、この手の音声応答イヤホンは通常、口から発話した音を外界に向けたマイクで取得するのだが、ORFEOは口から耳の中を通ってきた音を、耳の内側に配置されたマイクで捉えるということなので、外がうるさくてもクリアに発話した音をとらえることができるというのだ。

快適さを学習してくれる、エアコンコントローラー ambi

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このデバイス自体はよくある赤外線コントローラーだが、ambiの特徴はスマートフォンのアプリにある。

アプリで現在の空調の状態をどう感じているか、について「暑い」「寒い」などを入れていくのだ。

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それを繰り返していくことで、ambiのコントロールデバイスが、適切な温度設定を学習していく。

学習が終わると、自動的に空調をコントロールしてくれるというものだ。

AIとロボティクスもCo-innovation

AIとロボティクスを使った様々な製品も、わりと想像がつくものであったのではないだろうか。

昨今、画像認識や音声認識などのコグニティブ技術は、ライブラリが多くの企業から提供されていて、高度な処理が可能なチップセットやモジュールなどの環境も整ってきている。

こういった様々な要素技術は、開発企業にとっては使いやすい状態になってきているので、うまく組み合わせて自社が解決したいことを実現することが重要になってきているのだ。

IFA2018レポート
第一回:家電のイノベーションは起きるか
第二回:見えないところで起きている、家電の「Co-innovation」
第三回:ロボティクスとAIを活用したプロダクト
第四回:踊り場にきた、ウエアラブル関連プロダクト
第五回:IFA NEXTでみたスタートアップ製品

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