製造の現場から得られた知見で行う、工場の可視化 ーi Smart Technologies 木村氏、ウフル 八子氏 インタビュー(前編)

製造業における見える化とは、何をすることなのか

小泉: 「意見を言うと改善される」というサイクルに入りさえすれば、みんなどんどん意見を言うようになるということですね。

木村: それが、「工場なんて、こんなもんだよな。障害は別に自分の責任じゃないし。」という考え方から抜けるポイントとなります。

南相馬の事例でも、プレスのラインが20ラインくらいありました。私が伺った当初、朝一にはほとんど止まっていました(始めたくても、震災の影響もあって始められない状態であった)。しかし、2か月後には全部朝から動いていました。

当初、製造の指示があっても、どこになにがあるかもわからない状態ので、製造を始められないという状態でした。整理すれば良いだけなのに、案外単純なことがやられていないという状態でした。

ウフル 八子知礼氏(以後、八子): 往々にして職人の世界はブラックボックスになっていることが多いのです。我々ITの側からみると、なにからとりかかったらよいかわからない状態で、混沌としている。いわゆる、「整理されていない状態」となるのですが、これは、「システム的に整理されていない、もしくは、分解されていない」ということが課題ではないかと私は考えています。

今回、旭鉄工の工場を拝見させていただくと、モノがどのように流れているか、そして、スタート・ストップがどういう形でながれているかという、「インプット」「プロセス」「アウトプット」の整理ができているように感じました。

そこが整理されていないと、「職人や現場じゃないとよくわからない」ということに陥りがちだと感じております。

小泉: 設備や資材が適切な場所に置かれていない、もしくは、製造機械が非効率な配置になっているというケースもありますよね。

木村: 「言われてみると、そうだよね」ということもあります。今やっていることが当たり前になりがちなのです。

八子: 今までメインで作っていた部品があったとして、後工程の生産設備を置いた際、順番を変えて配置し替えたほうがいいのではないかという話になっても、日々の運営の中では、だれが責任をもって決められるのかが明確ではない場合があると思います。

いくつかの工程を俯瞰して見ることができていないと、こういったことは難しいのではないでしょうか。

小泉: そうすると、iSTCがやっているように、一つ一つの工程にかかっている時間が明確にわかると、少なくともみんなが納得できる解について、話しやすくなりそうです。

木村: 「こんなに止まっている」という数字がわかると、反論はできないものです。

我々が可視化したデータは、すごく汎用的な数字です。「何時間かけて」「何個作って」「どれくらいバラつきがあるか」「どれだけ止まっているか」ということがわかることが、もっとも効果的です。

高度な難しいことより、初心者は初心者らしくやるべきだと思います。

八子: 製造設備や部品など、作っているモノの複雑さにもよると思います。設備メンテナンスにある程度の時間が必要で、そこがボトルネックになっている、もしくは、旭鉄工のようにスループットの改善が全体に対して効果的なのか、という違いがあると思います。

小泉: 半導体製造の会社などを見ていると、製造そのものは、その製造装置の性能に依存していると思う一方で、その前後に作業や搬送、資材の配置など、人の動きに依存していると感じた経験があります。

作るものによってやり方を変える一方で、見るべきところを見ていけば、改善する余地はあると思います。

木村: 我々は、加工している瞬間の課題改善については、できるだけ後にしています。加工しているところを変えると品質にも影響がでるからです。

実のところ、加工して「いない」ときに無駄があることが多いのです。他の部分、つまり搬送や、止まっているという事実などから先に着手することが重要なのです。

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