秋葉原で購入した格安センサーで、生産状況の可視化をすることからはじまり、クルマのトランスミッションやサスペンション部品などを製造する旭鉄工からスピンアウトし、スマートファクトリーソリューションを提供する企業となったi Smart Technologies。現場の知見から出てきたソリューションは、机上の空論で組み立てられたソリューションとは一味違うと、全国の中小製造業から引き合いを得ているという。
そんなi Smart Technologies株式会社(以後iSTC)の代表取締役社長 木村哲也氏と、株式会社ウフル チーフイノベーションオフィサーの八子知礼氏にインタビューを行なった。(聞き手、株式会社アールジーン 代表取締役 / IoTNEWS代表 小泉耕二)
前編は、iSTCのソリューションを導入する中で得られたスマートファクトリーに関する知見や、課題などについて伺った。
スマートファクトリー推進の課題
IoTNEWS 小泉(以後、小泉): 早速ですが、スマートファクトリーを推進するうえで課題になっていることはありますか?
iSTC 木村哲也氏(以後、木村): まず、IoT化していかなければいけないというニーズを理解していない経営者が多いこと、逆に経営者が理解していても現場の抵抗があるという場合もあります。
特に、目先が忙しい会社は、目の前のオーダーをこなす必要があるといいます。
小泉: 実際にiSTCがプロジェクトに入ってみるとどうなりますか。
木村: 忙しくて3交代制で製造しているという会社でも、現場に行ってみると、その場で2時間くらい止まっていたりしますし、データをみると1日8時間も止まっているというケースすらあります。
その結果、たいていの会社ではデータを見ると、「こんなにラインが止まっているのか」となります。
小泉: 製造の現場が、実は止まっているということ自体がわからないということですか?
木村: わからないのです。特に経営層には現場が1日止まると、その状況が報告されるのですが、1時間ぐらいだと報告が上がってこない。まして、10分くらいだとまず上がらない。
その結果、「うちの工場は80-90%稼働しているよ」という話が出るのですが、現実は認識と大幅にずれている場合が多くなるのです。
自社の取り組みでいうと、旭鉄工では、まず産業機械の停止時間をデジタルで把握するようにしました。
時間ごとに従業員に書いてもらうという会社もありますが、人に依存すると、停止時間を短めに書きがちです。
また、以前の旭鉄工では、正確に把握する手段がない場合などでは、「感覚的に10分」と書いてしまう。また、すごく短い場合は、書かないというケースもありました。
経験値としては、おおむね2割くらいは少なく停止の記録がされていました。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。