SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS)は、IoTソリューション「SAS Analytics for IoT」の新バージョン7.1をリリースしたことを発表した。
SAS Analytics for IoTは、SASが提唱するIoTアナリティクス・ライフサイクルを実現し、センサー等のストリーミング・データから、ビジネスにおける価値生成を短期間に実現するためのソリューションである。以前のSAS Analytics for IoTは、ストリーミング・データを収集し、データを蓄積・保管後、探索的アナリティクスを中心としたデータ活用を実現するまでのソリューションだった。
今回、ストリーミングデータ分析の「SAS Event Stream Processing for Edge」やAIモデリングの「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」、モデルの精度モニタリング・管理の「SAS Model Manager」などの製品を追加したことで、データ発生源に近いエッジ領域から直接データを収集し、リアルタイムでストリーミング・データに対する分析機能が拡張された。
これにより、トリーミング・データを可視化するだけではなく、例えば、これまで人に頼ってきた判断を機械学習やディープ・ラーニングといった技術を活用して代替することが可能になり、労働力不足の解消などビジネス価値の生成を実現する。新バージョンの詳しい特長は以下の通り。
- ストリーミング・アナリティクスの強化・拡張
- リアルタイム処理の現場にDevOps環境
SAS Analytics for IoTの製品群の一つでもある 「SAS Event Stream Processing」は、ストリーミング・データに対して、低レイテンシーかつ大量のスループットを実現するリアルタイム処理機能を有する。特に、ストリーミング・データを活用した異常値判定や、状態監視、早期の劣化診断、周波数解析機能等を実現するアドバンスド・アナリティクス機能を強化、新規追加しており、状態の異常や不正などの診断アルゴリズムに適している。
他にも音声認識処理が加わった上、サポートする機械学習・ディープ・ラーニングによる予測処理機能を拡張したことで、AI技術の適用可能な業務領域が広がった。これにより、センサーデバイスなどから集まるデータや、ネットワーク上を流れるデータなどから、正確な意思決定を俊敏に行いながら、ビジネス価値の生成を加速させる。
「SAS Visual Data Mining and Machine Learning」と「SAS Model Manager」が新たに加わったことで、機械学習やディープ・ラーニングの予測モデルの開発と、開発した予測モデルをストリーミング・データに適用させ、予測モデルの精度が変化した際にはモデルの変更や再学習を行う、といったモデルのライフサイクルに応じた運用がスムーズに実現可能になった。
昨今のビジネス環境においては、変化に応じた迅速なモデルの開発と試行運用をスムーズに連携しながら、効果的に変化へ適合していくことがビジネス上の成果を得る為に重要となる。ストリーミング・データのようなリアルタイム性を求める現場においてもSAS Analytics for IoTはスムーズな試行運用が実現できる環境であるため、IoTビジネスの勝機を高めるという。
また、SAS Analytics for IoTは製造、流通・小売、運輸、金融など、IoTでストリーミング・データの収集、活用を実践している様々な業界で活用できる。製造工程においては、リアルタイムに収集されるストリーミング・データをもとに、製品ロットや各種の環境条件に応じた工程設備の運転方法を判断・調整して、最適値を算出し、熟練工のような安定した工程運用と品質の維持実現を支援することが可能である。
ショッピングモールにおいては、顧客の購買行動履歴をもとに、来店時の購買行動状況に応じて、スマートフォンのアプリへネクストベストオファーを提供し、顧客の満足度に貢献する。さらに、同業他社の売値をリアルタイムに収集しながら、顧客の来店状況、店舗内在庫と当月の売上目標を踏まえた適切な値付けを行うことで、リアル店舗の利益率向上に貢献する。
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