国立研究開発法人NEDOが展開する世界のスマートシティ

6月17日〜19日まで開催されていた、スマートコミュニティJapan2015。スマートコミュニティというわかりにくいかもしれないが、いわゆるスマートシティの展示会だ。

※参照:スマートシティ(Smart City) とは?

今回IoTNEWSでは、世界のスマートシティを手掛けるNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)に注目した。日本企業のIoTがどのように世界に広がっているか見ることができるからだ。

スマートコミュニティ国際実証の取り組み
スマートコミュニティ国際実証の取り組み

NEDOとは、日本最大級の公的研究開発マネジメント機関として、経済産業行政の一翼を担い、エネルギー・環境問題の解決および産業技術力の強化の二つのミッションに取り組む国立研究開発法人だ。

NEDOのブースでは、すでに取り組みが行われている世界の事例が紹介されていたため、いくつか取り上げる。

 

アメリカ ニューメキシコ州

大規模な太陽光発電システムが導入された、電力システムをスマート化した事例だ。

アメリカ ニューメキシコ州 スマートシティ事例
アメリカ/ニューメキシコ州 スマートシティ事例

日本側は清水建設、東芝、日立、京セラ、シャープなど、米国側はニューメキシコ州政府、サンディア国立研究所、ニューメキシコ電力会社など、計19社の合意形成ではじまった。

太陽光発電を大量導入した際の出力変動を吸収するため、実配電線レベルでの大規模マイクログリッド(※1)の実証やHEMS(※2)による住宅内エネルギー制御などを実施した。

※1 マイクログリッドとは 既存の大規模発電所からの送電電力にほとんど依存せずに、エネルギー供給源と消費施設をもつ小規模なエネルギー・ネットワーク
※2 HEMSとは Home Energy Management Systemの略。住宅用エネルギー管理システム

HEMSによる住宅内エネルギー制御
HEMSによる住宅内エネルギー制御

 

ディスプレーや計測メーターも展示されていた。

家庭のエネルギー消費を見える化するホームディスプレー
家庭のエネルギー消費を見える化するホームディスプレー
家庭のエネルギ―消費情報を計測するスマートメーター
家庭のエネルギ―消費情報を計測するスマートメーター

約900軒のボランティアが参加したこの実証は2009年からはじまり、2014年に終了した。NEDOによると、実証を通じて、市販されている見える化主体のHEMSの発展系とされる、自動化HEMSに導入される技術を先取りして確立できた、としている。

 

アメリカ/ハワイ州 マウイ島

再生可能エネルギーとEVが共存する、世界最先端の島、ハワイ州マウイ島。

ハワイ スマートシティ

米ハワイ州では、風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーの導入が進んでおり、2030年までに電力需要の40%以上を再生可能エネルギーで賄う計画だ。

日本側は、日立製作所、みずほ銀行、サイバーディフェンス研究所、米国側は、ハワイ州、マウイ郡、ハワイ大学自然エネルギー研究所、ハワイ電力、マウイ電力、マウイ経済開発協議会の合意形成でプロジェクトが開始。

風力・太陽光エネルギーの導入が進んでいるマウイ島において、既に今日の問題として顕在化している出力不安定性、周波数の低下、系統機器への過負荷等の課題を解決するため、EVの充電タイミングを調整するマネジメントシステムを構築することで、島のクリーンエネルギーモデルの実現を目指すとしている。

ボランティアとともに進めたこの実証事業は2015年3月までとなっているが、公式サイトでは成果の発表はまだないようだ。

 

イギリス/マンチェスター

住宅の熱利用をスマート化。
イギリス スマートシティ

NEDOとBIS※1、DECC※2及びマンチェスター市(グレーター・マンチェスター)は、同市で実施するスマートコミュニティの実証プロジェクトについて、共同でプロジェクトを推進することで合意。日本側は、日立製作所、ダイキン工業、みずほ銀行が協力し、英国側は、住宅公社が協力・支援をした。

※1:ビジネス・イノベーション・技能省(Department for Business, Innovation and Skills, BIS)
※2:エネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)

イギリス スマートシティ

日本が強みを持つヒートポンプ技術と情報通信技術を利用して、住宅の小口消費電力をアグリゲートし、電力市場における需給調整能力に利用できるネガワットの創出及びポジワットを吸収するビジネスモデルを構築することで、英国における住宅の低炭素化政策の実現及び再生可能エネルギー普及への貢献を目指している。

電力市場において、小口電力に関する情報を一括してとりまとめ、負荷調整能力を提供するサービスについては、まだビジネスモデルが確立されておらず、実証段階ながら世界初の事例となるそうだ。

本実証事業は2016年終了予定。

 

スペイン/マラガ市(アンダルシア州)

電気自動車(EV)とEV管理システムで街をスマート化した事例。

電気自動車(EV)とEV管理システムで街をスマート化

NEDOとスペインのマラガ市合意形成があり、日本側は三菱重工業、日立製作所、三菱商事に委託、Endesa(エンデサ:大手エネルギー会社)、Telefonica(テレフォニカ:大手通信事業者)、Ayasa(アイエサ:コンサルティング会社)がスペインに協力・支援をした構図だ。

情報通信技術を駆使してEVユーザーの行動変革を促し、EVの大量充電による電力系統への負荷を低減する技術を実証した。

スペイン マラガ市でのEV実証実験
スペイン マラガ市でのEV実証実験
スペインマラガ市
現地の様子
EVの走行所内IoTNEWSや充電ステーションの状態を把握できる表示システム
EVの走行所内IoTNEWSや充電ステーションの状態を把握できる表示システム

実証試験は2015年度まで実施している。

 

マレーシア、インドネシアの事例

マレーシアでは、政府機関が集中するグリーンシティであるプトジャラヤ市において、長寿命かつ超急速充電が可能な二次電池搭載EVバスを用いた環境に優しい都市交通システムを実現。

マレーシア/プトラジャヤ市 スマートシティ

インドネシアでは、電圧変動や瞬間停電といった課題を解決するため、日本の電力品質安定化システム等を導入し、電力の安定供給とエネルギー利用の効率化に関する実証を通じて、インドネシアの経済発展と低炭素化への貢献を目指す。

インドネシア/ジャワ島 スマートシティ

 

都市の形成となると企業単体だけでは進められないことも多いため、ほとんどの事例において国と数社からなる企業の合意形成から進めているのがポイントだ。

一つの都市で成功すればパッケージ化し、他の都市へ広げていくことができるため、ビジネスチャンスも広がっていく。今後様々な都市で企業同士の連携が進み、よりダイナミックな取り組みが増えていくだろう。

・関連リンク
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