スマートシティ(Smart City) とは

「スマートシティ/スマートコミュニティ(以下、スマートシティ)」と聞くと、どんな街を思い浮かべるだろうか。

街全体がインターネットで繋がって省電力で動いていたり、自動運転の車が走っていたりという、近未来的な街というイメージで間違いはない。

スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の先端技術を用いて、基礎インフラと生活インフラ・サービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら、人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした新しい都市のことだ。

このスマートシティは、世界中でプロジェクトが進められている。その理由としては、現在73億人の世界人口が2050年に95億人になると予想され、エネルギー消費が爆発的に増えることが懸念されていることに加え、今までSF映画のような空想世界でしか描けなかった都市を創ることができる技術が発達してきたためだ。日本では人口減少傾向だが、東日本大震災がきっかけでエネルギー供給の考え方が大きく変わってきている。

都市のDXが進む「スーパーシティ」構想とは?
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スマートシティは「6つのスマート」の集合体

スマートシティの考え方については、断片的なスマートグリッドやゼロエミッションというエネルギーマネジメントに偏ったキーワードで語られることもあるが、ここでは下記6つの集合体としたい。

smartcity

  • Smart Living(スマートリビング・生活)
  • Smart Energy(スマートエネルギー・環境)
  • Smart Economy(スマートエコノミー・経済活動)
  • Smart Learning(スマートラーニング・教育)
  • Smart Mobility(スマートモビリティ・交通)
  • Smart Governance(スマートガバナンス・行政)

このフレームワークについては、ウィーン工科大学が開発したモデルをメインとし、わかりやすいように表現を一部アレンジした。

スマートシティは、「私たちヒトの暮らしが、環境に配慮しながらもっと良くなるには?」を中心に考えると想像しやすいだろう。

例えば、家が自分で考え電気量をコントロールし自家発電してくれれば、効率的に節電ができ、余った電力を隣の家に提供することもできる。自動運転のクルマが広まれば、今まで渋滞でイライラしていた車中の時間を活用し、仮眠を取ったり仕事を進めたりすることができる。

家やクルマなどの生活インフラと、電気・ガス・水道などの基礎インフラという都市全体がインターネットで繋がることで、効率的な都市の管理ができ行政サービスの向上も見込まれる。そして、この流れは多くのビジネスチャンスが生まれるため、経済も発展していく。

このように考えると、決して、エネルギー問題を解決するだけ、インターネットで繋がるだけではなく、環境に配慮した暮らしの質の向上を目指していることがお分かりいただけるのではないだろうか。

次世代都市プロジェクトと再開発都市プロジェクト

世界中で取り組まれているスマートシティだが、新興国と先進国では状況が異なる。経済成長が著しい中国などの新興国では、急激な都市の拡大に対応し、新しく都市を形成するという「次世代都市プロジェクト」がメインとなっている。

一方、日本や欧米のような先進国では、基礎インフラは整っているものの老朽化が課題となっており、建物や設備の管理・更新をメインとした「再開発都市プロジェクト」が進められている。

先進国については課題はそれだけではない。基礎インフラの老朽化に加え、世界的なエネルギー不足問題、超高齢化社会、経済の再活性化など山積みだ。スマートシティはこれらの課題をまとめて解決できると期待されているため、注目を浴びているというわけだ。

スマートシティを支える技術

そもそも都市がどのように形成されているかという点だが、大きく社会インフラ生活インフラ・サービスの2層にわかれる。

smartcity3

既述のように現代の都市が抱える課題解決としてスマートシティが進んでいるが、構想としてはガラケーと呼ばれる携帯電話が普及しはじめた1990年ごろからあるものであった。その後、スマートフォンが爆発的に広がり、様々な通信技術、製品の小型化、省電力化などの技術が一気に進んだことで、構想が現実のものとなってきたのが2010年ごろからである。

いわゆるIoTの進化で、これまで別々に機能していた基礎インフラや生活インフラ・サービスが、センシング技術、通信技術、情報技術、アプリケーション技術の連携によって、スマートシティとして動き出しているのである。

IoTを支える4つの技術
IoTを支える4つの技術

「グリーンフィールド型」と「ブラウンフィールド型」

国内・海外のさまざまな地域で、スマートシティは実際に実現に向かって動いている。

全くゼロから作る「グリーンフィールド型」と、既存の街から作る「ブラウンフィールド型」があるが、日本の場合ほとんどがブラウンフィールド型となる。

グリーンフィールド型は、先日トヨタが着工した「WOVEN CITY」がこれにあたるが、この場合、もともとトヨタの工場跡地であったこと、資金力が豊富であること、NTTとのデジタル面での協力関係があること、などいくつかの壁を乗り越えて実現しようとしている。

たとえ、技術面で乗り越えることができても、カナダのトロントの事例のように、個人情報の取得に関して住民と問題解決ができず、プロジェクトが頓挫したという事例もあり、グリーンフィールド型だからといってもできることの限界がある場合ことに留意する必要がある。

国内・海外スマートシティDX事例10選

スーパーシティ構想

内閣府は2018年、これまでのスマートシティとは次元が異なる「まるごと未来都市」をめざす、世界最先端の「スーパーシティ」構想を発表した。

この構想は、世界に先駆けて、日本型のスマートシティを実現し、可能であれば世界に輸出しようというものだ。

2020年5月、「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」、いわゆる「スーパーシティ法」が成立。さまざまな自治体が、産学官連携によって、新しいまちづくりを行うための取り組みを進めている。

都市のDXが進む「スーパーシティ」構想とは?

スマートシティ1.0と2.0

ここでは、デュービンゲン大学(独)の地理学者であるHenning Günter氏が整理したものを説明する。

簡単に言うと、スマートシティ1.0は技術ドリブン、スマートシティ2.0はユーザードリブンである。例えば、アメリカではもともと1.0で行われていたが、最近になって2.0に移行している。

スマートシティ1.0

もともとスマートシティは、エネルギー需給や温暖化問題のひとつのアプローチとして、はじまった。

例えば、都市インフラ、家庭内の設備などにITを導入して、エネルギーの需給をコントロールしたり、交通道路システムとして道路と車両をITでつなげたりすること(カーナビやETC)などで取り組まれてきた。

スマートグリッドを例にあげると、電力会社とメーカーが主導で計画を進めるため、ここには自治体や市民の姿は見えない状況だった。

スマートシティ1.0の事例 〜韓国 仁川市 松島新国際都市〜

もともと仁川は、ソウルのベッドタウンという位置づけだったが、2001年に仁川国際空港ができたことで国際都市に進化し、仁川経済自由区域ができた。

仁川経済自由区域には48兆ウォンのインフラ投資が行われた。そこには永宗、青羅、松島という3つのエリアがあり、それぞれの特徴があるが、スマートシティの一部として、松島に27万人都市を計画した。

そこでの目指すスマートシティのイメージは、監視カメラやセンサーを各所に設置し、ブロードバンドネットワークを市内に整備、データをオペレーションセンターで分析するというものだった。

下記の動画はオペレーションセンターの動画だ。

上記の動画では駐車場に停まっているクルマをカメラで映し、ナンバープレートを控えたり、何か緊急事態が起こったら、すぐに街頭からオペレーションセンターにつなぐことができたりする、映像が流れている。

スマートシティ2.0

一方、スマートシティ2.0は、生活の隅々にIoTやAIなどのITを導入していくことで、今まで解決できなかった課題が解決される可能性が開けてきている。

1.0と違うのは、あくまでもスマートシティ開発の中心にはヒトがいて、その人々を幸せにするための技術活用を考え始めたという点である。

スマートシティ2.0の事例 〜アメリカ イリノイ州 シカゴ〜

イリノイ州の都市シカゴは人口283万人が住んでいる。一時期は世界一忙しいオヘア国際空港として有名だったが、近年は、シビックテック(Civic:市民 と、Tech:テクノロジー をかけあわせた造語)で注目されている都市だ。

20111年にオバマ政権の時に、首席補佐官を努めたラーム・エマニュエル氏が市長に選任されてから、スマートシティの取り組みが促進されてきた。ラーム・エマニュエル氏は、オープンデータをシカゴ市の最重要課題にし、データ分析などを用いた都市の将来像を提示した。

また、シカゴでは、市民、NPO,起業家、地元企業、シカゴ市、教授、学生などが集いエコシステムを形成するChi Hack Nightが開催されている。Chi Hack Nightでは勉強会や、啓蒙活動、ネットワーキング、協業などが行われる。

そのほか、エコシステムを作っている代表的なプレーヤーは、シカゴ市や、CODE for AMERICA、City techなどがある。

日本でもはじまっているスマートシティ2.0の取り組み

市民中心のまちづくり〜スマートシティ2.0とは

三井不動産などが主導し、14年に街開きした柏の葉には約1万人の新規住民が移り住み、国内で有数のスマートシティとなった。ところが、三井不動産柏の葉街づくり推進部の竹川励主事は「この7年間、失敗もしたし、反省もした」と振り返る。

その反省とは、民間主導で街づくりを進めてきたため、地域住民の課題を吸い上げて街づくりに生かす仕組みや、街の取り組みに住民が積極的に参加するための仕組みが十分に整っていなかったことだ。そこで20年12月から始めたのが「みんなのまちづくりスタジオ」だ。

ここでは、地域住民が定期的に集まり、街の課題について議論する。第1期では「どうすれば街の声を集められるか」というテーマの下、約7カ月にわたって議論を交わした。民間企業の関係者は場づくりに徹し、住民主導を貫いた。

街の声を集めるプラットフォームがその議論の中から誕生するといった具体的な成果も出てきた。

スマートシティで使われるソリューション

スマートシティを実現する際に使われるソリューションについて紹介する。

スマートゴミ箱

世界中で導入が進むスマートゴミ箱。これまで定期的に回収をしていたゴミを、ゴミが溜まったことを認識し、通知がくるという方式にすることで、回収の回数を減らすことができる。

さらに、狭い道路に大型の回収するトラックが道を塞ぎ、渋滞が起きるケースも回避できることから、さまざまな都市で導入が進んでいる。

スマートゴミ箱のソリューションを比較した記事は以下にあるので、参考にして欲しい。

スマートシティに使える、スマートゴミ箱5選

スマートパーキング

街の道路にある、パーキングの満空情報を取得し、パーキングを探しているドライバーに通知するソリューションだ。

ドライバーが空いているパーキングエリアを簡単に探すことができるので、ドライバーのイライラが軽減される。それだけでなく、渋滞や事故が発生したり、その間のCO2排出するということが課題とされているが、これらについても軽減されることがメリットとされている。

スマートシティにおける、スマートパーキング10選

スマートポール

街路灯を高度化するソリューションがスマートポールだ。

もともと、街路灯なので電力供給が前提となっているデバイスであるため、それを活用してカメラを取り付け、防犯や人流解析などに活用したり、Wifiルーターの機能を搭載することで、シティWifiを実現したりと、さまざまな利用シーンが想定されている。

最近では、環境配慮のもと、自然エネルギー利用を前提とした製品も登場している。

スマートグリッド

初期のスマートシティは、スマートグリッドの文脈で語られることが多かった。

スマートグリッドとは、全く新しい送電網を構築、再生可能エネルギーや自然エネルギーを取り入れるという考えのもと、電力供給のためのネットワークを抜本的に見直すことだ。

現在、スマートメーターと呼ばれる、家庭用の電力メーターについて、IoTを活用して使用状況をリアルタイムに取得することで、無駄な電気を発電しないようにするといった取り組みが進んでいる。

関連リンク

スマートシティの記事一覧はこちら

国内・海外のスマートシティ10選
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