IDC、顧客エクスペリエンスと従業員業務効率の向上およびイノベーションの加速がAIの採用を牽引すると発表

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IDC Japan株式会社は、世界のAIの採用に関する調査結果を発表した。

IDCが2,000人以上のITおよびビジネス(LoB:Line Of Business)の意思決定者を対象に最近行った調査で、世界的にAIの採用が活発化していることが判明した。AIのプロジェクトの4分の1以上がすでに本番稼働し、3分の1以上が高度な開発段階に入っているとした。さらに今年各企業でAI支出額が増加していることもわかった。

調査に参加した大手企業の半分以上が、AIを採用する主な動機は顧客エクスペリエンスの向上であると回答した。それと同時に、ほぼ同数の回答者が、AIによる最大のインパクトは従業員が業務で実績を上げるのに役立つ点であると回答している。顧客エクスペリエンスの向上にしても、より有用な従業員エクスペリエンスにしても、AIの採用と優れたビジネス成果との間には直接的な相関関係があるとした。

AIの利点についてはある程度企業の意見が一致しているが、AIソリューションの導入実態には企業によっては相違が見られる。現在採用されているAIのユースケースのうちトップに挙げられるのは、ITオートメーション、インテリジェントプロセスオートメーション、自動脅威解析および調査、サプライおよびロジスティクス、自動カスタマーサービスエージェント、および人事業務の自動化である。

大手企業(従業員規模5,000人以上)では自動カスタマーサービスエージェントと人事業務の自動化の採用の優先度が高いのに対し、中堅中小企業(従業員規模1,000人未満)ではITオートメーションの採用の優先度が高くなっている。

企業にとってAIソリューションの採用には利点がある一方で、AIの導入は依然としてデータに関する課題が残されていると提言した。トレーニング用データの量的な不足と品質の問題がAIの開発における重要かつ継続的な課題である。データの統合に関する課題のトップには、データセキュリティ、ガバナンス、パフォーマンス、およびレイテンシー(転送速度)があげられている。

データ管理の問題としては、ソリューションの価格、パフォーマンス、拡張性が指摘されている。また、各企業の回答によると、AIの実装を困難にする最大の課題は導入費用だ。企業における取り組みの規模が大きくなるにつれ、サービス別に細分化された価格設定や従量制の料金が、AIの普及の阻害要因になる場合がある。

その他、主な調査結果は以下のとおり。

  • 各企業の回答によると、AIライフサイクル期間全体でほぼ3分の1の時間がデータの統合と準備に費やされ、実際のデータサイエンス作業がなかなか進まないことが、AIの普及の阻害要因だとしている。
  • 大手企業は依然として深層学習などの機械学習技術の応用に苦慮している。AI/MLを大規模に運用するには、企業はMachine Learning Operations(MLOps) – 機械学習、開発、オペレーションを複合した概念 – を取り入れる必要がある。
  • 信頼できるAIがビジネス上、急速に不可欠になりつつある。公平性、説明可能なこと、堅牢性、データ系統、透明性(情報開示を含む)が、早急に対処すべき重要な要件である。
  • AI/MLプロジェクトの約28%が失敗している。失敗の主な原因として、必要な専門知識のあるスタッフの不足、運用に耐えうるデータの不足、統合型開発環境の欠如があげられている。

米国IDC Artificial Intelligence Strategies プログラムバイスプレジデント リトゥ・ジョーティ氏は「アーリーアダプター(初期採用層)企業はAIソリューションを導入した結果、顧客エクスペリエンスが約25%向上、イノベーションが迅速化し、競争力の強化、利益率の増加、従業員エクスペリエンスの向上が実現されたと報告しています」と述べている。

また「世界中の企業がビジネス変革プロセスにAIを採用しているのは、単にAIによって俊敏性、リカバリー性、革新性、拡張性が得られるからという理由だけではありません。これらは企業にとって間違いなく必要だからです。AIと機械学習を大規模に運用するには、AI対応のデータアーキテクチャ、MLOps、そして信頼できるAIがきわめて重要です」と述べた。

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