KDDI総合研究所と大阪府立大学、モバイル回線に接続したスマートフォンで遠隔制御可能な水上ドローンを開発

日本国内の漁業就業者数は高齢化や後継者不足により、1988年から一貫して減少傾向であり、漁業の効率化と省人省力化が持続可能な水産業の実現に向けた社会課題の一つになっている。近年、水産分野におけるICTやロボット技術の活用が課題解決の一手段として着目されており、漁業就業者の勘や経験に基づく漁業から、先端技術やデータを活用した漁業への転換が推進されている。

株式会社KDDI総合研究所と大阪府立大学は、ロボット技術の活用による漁業の効率化を目的として、モバイル回線に接続したスマートフォンでの遠隔制御と、長時間使用が可能な水素燃料電池を搭載した水上ドローンを、日本海工株式会社の協力のもと開発しした。

水上ドローンは、四つの船体を有しており各船体を独立的に制御することで船体の定点保持や急旋回といった特徴的な動作が可能である。水上ドローンは航行時と海洋環境データの測定時で異なる形態を有し、用途に応じた選択が可能だ。また、従来の単胴船に比べ横波などによる転覆の危険性も低く、自律航行する際の安全性も考慮した設計となっている。
KDDI総合研究所と大阪府立大学、モバイル回線に接続したスマートフォンで遠隔制御可能な水上ドローンを開発
また、スマートフォンの画面操作により水上ドローンの前後進・左右旋回や形態変更など各種制御ができる。ユーザーは水上ドローンが搭載するカメラ映像をスマートフォンの画面上で確認しながら遠隔制御ができると同時に、水上ドローンの位置などを含む各種センサ情報を確認することができる。
KDDI総合研究所と大阪府立大学、モバイル回線に接続したスマートフォンで遠隔制御可能な水上ドローンを開発
さらに、スマートフォン画面に表示される地図/衛星写真上を、水上ドローンを自律航行させたい航路を指でなぞることで自動的に航路情報を作成できる。作成した航路情報を4G LTE通信で水上ドローンへ転送することで自律航行が開始し、現在地などの各種情報をスマートフォンの画面上で確認することができる。
KDDI総合研究所と大阪府立大学、モバイル回線に接続したスマートフォンで遠隔制御可能な水上ドローンを開発
水上ドローンに搭載する水素燃料電池には飛行ドローン向け製品を採用した。小型・軽量ながら最大連続出力800Wの性能があり、水上ドローンへ十分な電力を供給することができる。水素ガスボンベにはカーボンFRP(Fiber Reinforced Plastics)容器を採用することで軽量化を図り、同重量のリチウムイオン電池の4倍以上の電力を貯蔵できる。

今回、搭載した水素燃料電池と水素ガスボンベのシステム重量は約10kg(ケース重量除く)でありながら、4kWhに相当する電力を貯蔵できる。リチウムイオン電池の場合、4kWhのシステム重量は40kgとなり、水素燃料電池システムの約4倍の重量となる。

他方、水上ドローンの実用化に向けて、2020年11月から石川県七尾湾で4G LTEネットワークに接続した水上ドローンの遠隔操作性評価と、水素燃料電池を搭載する水上ドローンの安全性や運用性、性能面での評価・検証の実証実験を開始した。

同実証実験では、4G LTEに接続するスマートフォンの画面操作で、水上ドローンに搭載されたカメラの映像を見ながら操作するリアルタイム制御と、事前にスマートフォン上で作成した航路に従って自律航行する自律制御の評価を行い、実際の漁場から離れた自宅や事務所などの遠隔地から水上ドローンを制御し海洋環境の調査が可能か検証する。

また、広域な海洋環境データの連続測定を実現するために、電源として搭載した水素燃料電池の連続航行可能時間や他の電源との性能比較、安全性の評価・検証も行う。

水上ドローン rev2
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