幅広い事業展開の中で求められる「DX」や「人材像」とは ―ソニー 田代氏インタビュー

ソニーグループ(以下、ソニー)は、ゲーム、音楽、映画、エレクトロニクス、イメージング&センシング・ソリューション(半導体)、金融などを担う、様々なグループ会社で構成されており、その中で多様な事業展開を行っている。

そうした多様な事業のどの領域においても、デジタルは密接な関係がある。

そこで本稿では、デジタルが溶け込んでいるソニーにおいて、DXとは何か、そして組織として求める人材像などについて、ソニーグループ株式会社 SPPS採用部 統括部長 田代嘉伸氏にお話を伺った。(聞き手: IoTNEWS小泉耕二)

感動を届けるための手段としてテクノロジーを活用する

IoTNEWS 小泉耕二(以下、小泉): ソニーは様々な事業やサービスを展開しており、全てにおいてデジタルは欠かせない存在だと思いますが、全社としてDXをどのように捉えているのでしょうか。

ソニー 田代嘉伸氏(以下、田代): 前提として、ソニーにとってのDXというものは、お客様への感動体験を提供するための手段ということです。

それは、内部変革のおけるDXであっても、お客様が触れるDXであっても、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というソニーのPurposeに則ってデジタルを活用するという発想が根底にあります。

幅広い事業展開の中で求められる「DX」や「人材像」とは ―ソニー 田代氏インタビュー
Sony’s Purpose。

そうした発想をもとに、テレビやオーディオ機器、カメラといった製品群をはじめ、アニメや音楽、ゲームなど、様々な事業のそれぞれの組織の中で、必要なITソリューションやデジタルを活用し、DXを実現していきます。

小泉: 具体的に業務の効率化などでのDX事例があれば教えてください。

田代: ソニーは世界中でビジネスを展開していますが、従来は人が販売予測を行い、各地域の販売会社が工場に対して発注をしていました。そして部材調達・製造を行い、現地まで運んで販売に至るというプロセスを取っていました。

そこにITを活用して販売予測を行ったり、製品の不良品予測を行ったりしています。

また、ゲーム制作の場面においても、不具合が起きた際にどういった領域をデバッキング(不具合の解消)しなければならないかを、ITツールを活用して行っています。

小泉: そうした業務改善においてのDXは、新たなシステムの導入などで実現しているのでしょうか。

田代: 先ほどの販売予測で言うと、人が行ってきた販売予測のデータを可能な限り遡り、そのデータと複数の要素を組み込んで構築しました。それが特に2010年以降非常に精度よく機能し、貢献してくれたという歴史があります。

ですので、新しいシステムを投入してガラッと仕組みを変えるというよりは、地道に社内のデータを整理し、現場オペレーションと連携しながら取り組みを進めていくことが多いです。

小泉: グループ会社も多いですし、事業やサービス、部門が幅広ですから、うまくカスタマイズしながら構築しているのですね。

そうすると人材配置がとても重要だと思うのですが、どのようなスタンスで行なっているのでしょうか。

田代: そこは非常に難しいポイントです。ECが現在ほど浸透する前は、当然リアル店舗ありきでのサプライチェーンが構築されており、ソニーも例外ではありませんでした。

そうしたこれまで歴史的に築いてきた関係性や現場の知見を活かしつつ、どこからどこまでを変革していくかは見極める必要があると感じています。

主体性を尊重した上での、教育やディスカッションの場づくり

小泉: 次に、人材育成や教育について教えてください。

田代: ソニーでは基本スタンスとして、個人が能動的に課題解決に挑む姿勢を尊重しています。

その上で、全社員へ向けては、自分自身で研修を選んで受講できるような制度を用意しています。社内講師が400人ほどいて、年間300ほどのメニューを用意しています。

この中に、IT、DX、AIなどのデジタルに関する研修が数多くあります。こうしたメニューから、自身の仕事の課題に合わせて研修を受けたり、リスキリングの意味で勉強し直したりすることができます。

小泉: 個人の意思ややる気に寄り添っているのですね。一方、会社主導の選抜されたメンバーの育成などは行っているのでしょうか。

田代: 会社主導では、設計部署やIT部門、事業系組織や研究開発チーム、私のような人事部門などから、事業の垣根を越えて活躍することを期待される人材が、部長やリーダーといった階層ごとに推薦され、研修を行っています。

しかしこの研修では、デジタルに特化しているというよりも、どちらかというとリーダーシップや組織を動かすための内容になっています。

インプットとアウトプットは半々で、アプトプットの一環として、経営層に対してソニーの中長期戦略を提言するという取り組みも行っています。

そうした際に、ITやデジタルをどう活用するのかといったことが当たり前に出てくることも事実です。

小泉: マネジメント経験のある上席者向けの研修を行っているのですね。一方、若い人材に対する教育や、チャンスの場などはどのように提供されているのでしょうか。

田代: 一つは、品川にある本社の中に、PORT(ポート)という社員が自由に使える場の提供をしています。PORTは、昨年みなとみらいオフィスにもオープンしており、様々な属性の人材が集まり、触発し合うという設計をしています。

幅広い事業展開の中で求められる「DX」や「人材像」とは ―ソニー 田代氏インタビュー
ソニー品川本社5階にある社員同士の学び合いの場「PORT」。(Photo by Joshua Lieberman)

また、ITエンジニアのミートアップや勉強会が開催されるなど、ボトムアップのディスカッションが起きやすいカルチャーでもあります。

小泉: 主体性に任せられている御社のカルチャーが良い形で体現されていますね。

個人の可能性を広げる採用方法

小泉: 次に採用に関して教えてください。各グループ会社や本社でのデジタル人材の採用活動は、どのように進めているのでしょうか。

田代: 採用方式としては、メンバーシップ型というよりもジョブ型に寄った求人方法をとっています。

新卒、経験者共に、職務の領域がある程度記載された上で求人を行っています。

現在まさに新卒の求人を行っていますが、募集コースを100程度に分けて、その中から希望するコースを選択してもらうという方式をとっています。

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ソニーの新卒採用の募集コース。コースに応じて応募することができる。

もちろんデジタルに特化したポジションでない募集も行っていますが、会社にデジタルが溶け込んでいるので、配属後にボランティアで関わるというケースもあります。

小泉: ジョブ型ですと、ジョブディスクリプションなど枠決めも重要だと思うのですが、どのように定義づけをしているのでしょうか。

田代: ソニーでは毎年、会社の体制を明確化するため、各事業の中で短期・中期でどのような事業体制を構築するかを議論します。

その際、人事の議論も共に行いますので、求める人材像やスキル、年齢層などを事業部門ごとに決定しています。

小泉: そうすると社内公募でもポジションを明示して募集を募るのでしょうか。

田代: 社内募集という制度は昔からあります。社内で求人を公募し、該当する興味がある人に応募してもらっています。

実際に配属が決まると必ず異動することができます。そうすることで社内の人材流動を図っています。

小泉: やる気やスキルがある人材は、積極的に多様なキャリアを歩むことができるのですね。

田代: そうですね。あくまでも、本人の意思やスキルなどに委ねられています。

幅広いコンテンツを活かし、新たな価値創造を実現する

小泉: それでは最後に、読者やソニーに応募したいと考えている方に対してメッセージをお願いします。

田代: 一昔前までは、IT人材はSIerやITコンサルタントなど、いわゆるIT業界に所属している人材がほとんどでした。しかし最近では、弊社を含めた、製品や現場を持っている企業もIT人材を求めるようになってきています。

しかしそうした流れはまだまだ始まったばかりですので、いかに興味を持って参画してもらうかが重要です。

IT人材にとって、ソニーは様々な事業やサービスといったコンテンツを持っているので、そこにITの知見を掛け合わせるという、特別な体験をすることができると考えています。

また、10年20年先の研究開発に関わりたい方など、幅広い領域において野望を持たれている方にとっても、力を発揮できる場があると思っています。

小泉: 自分が取り組んだ結果が、製品やサービスに組み込まれていくというのは、DX人材にとっても大きな醍醐味だと思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

ソニーではこんな人材を募集中

2022年3月15日時点での募集要項です。詳細な最新の情報はコチラからご確認ください。

企業名

ソニーグループ株式会社

募集職種

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