「Pepperと拓くクラウドを利用したデジタル革命」 日本マイクロソフト榊原氏講演 ~SoftBank World 2016

2016年7月21日22日に開催されたSoftBank World 2016。「Pepperと拓くクラウドを利用したデジタル革命」というテーマで、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者 榊原 彰氏は、「マイクロソフトというと”Windows”と”Office”の会社という印象が強いと思うが、ライセンスモデルもがらっと変えて、クラウドを主軸におき、いかに安くてスケーラブルなコンピュータパワーを皆さんにを使ってもらうかというところに主眼を置いたビジネスに大きく舵を切っている。」と述べた。

米マイクロソフト三代目のCEOであるサティア・ナデラ氏になってから、この変革は加速しているのだという。

サティア・ナデラ氏のフォーカスエリアはモバイルファースト、クラウドファーストだ。常に「モバイル」のこと「クラウド」のことを考え、そこが出発点になって色々なソリューションを作っていく会社に大きく舵を切っているということだ。

今回のSoftBank Worldでは「AI」「ロボティクス」「IoT」という3つのキーワードが主軸になっているが、その分野で最も頻繁に使われるであろうサービスが、マイクロソフトのCognitive Servicesであることを強調した。

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マイクロソフトのCognitive Servicesは、「AI」「ロボティクス」「IoT」を実現するには欠かせない、視覚:Vision、会話:Speech、言語:Language、知識:Knowledge、検索:Searchそれぞれの分野における様々なAPIを安価に利用できるようにしているという。

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ImageNetという画像の巨大なデータベースサイトがあるのをご存じだろうか。ここで毎年開催されているImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge (ILSVRC)という、映っている画像の物体認識を競う世界的なコンテストがある。

昨年2015年にマイクロソフトは、2014年のGoogelの6.7%という数字を大きく上回り、また人間の誤認識率5.1%よりも精度の高い3.5%というスコアを出しナンバーワンになったという。

Cognitive Servicesでも活用されているマイクロソフトの画像認識技術は、世界の中でもTOPを走っていると榊原氏は述べた。

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この図では実際に”モノ”をどういう認識をするかを表している

画像認識で重要なことは、「映像に映ってる”モノ”に”似た画像”があるといった認識をすること」ではなく、「映っている”モノ”が何なのか?」を理解するとことだという。

人の画像をみて人と特定することはコンピュータにとっては非常に難しい技術だ。マイクロソフトは深層学習の技術によって、この認識率の精度の数値を上げていき、その機械学習の方法をサービスとして提供しているとのことだ。

デモンストレーション

会場ではその場で撮影した写真を、Cognitive ServicesのVisionAPIを利用して解析するデモンストレーションが披露された。

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画像を入力すると、自動的に顔を抽出し、その顔の表情から驚き、恐怖、怒り、倦怠など様々感情の強さを示す数字(感情を示す度合)が瞬間に計算され出力された。

 

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次に、入力された画像から、映っているものが何をしているのか、何を示しているのかをテキストで抽出するデモンストレーションが行われた。

画像を入力すると、瞬時に「a woman talking on a cell phone」(女性が携帯電話で話をしている)と、その写真の状況を解析しそれを示すテキストが出力された。

ロボアプリパッケージ「SynApps」は、ロボットに与えた仕事の業務支援を行う

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株式会社ヘッドウォータース 代表取締役 篠田 庸介氏

続いて、マイクロソフトのCognitive ServicesとPepperを連動させて実現されているサービスとして、ヘッドウォータース社が提供するSynAppsが紹介された。

このサービスを活用すると、ロボットがなにか仕事をするときその仕事を支援することができる。

人間も会計ソフトや在庫管理システムをつかって与えられた業務を行っているが、同じようにロボットが業務支援サービスSynAppsを使う、つまりは連携することで、より高度な仕事を行えるようになる。

例えば、ロボットが複数台あったとしても一台ずつ指示することができる。

ロボットに仕事を登録設定することができるだけではなく、Azure上のCognitive Services、推測エンジンを使って行くことで、さらに高度な仕事のテクニックをロボットに与えることができるようになっていくとのことだ。

一般的に店舗等で想定される業務に「受付」「接客」「相談」がある。

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まず、お客様がお店に来るとPepperはカメラでお客様の画像を認識する。

この認識した画像をAzure上のCognitive Servicesに送るとこのお客様が誰なのかを特定でき、クライアントの持つCRMと連携することで、受付でお客様の名前を呼んで接客することができる。

さらに、店舗に入った後は、クライアントの持つCRMで管理されている過去の購買履歴、相談履歴、接客履歴などと連携し、Azure上の推測エンジンを使うことで、「このお客様が何を欲しがっているのか」、「何を買いたいと思っているのか」を推測して、最大限に顧客に適した接客を進めていくことができる。

さらに、そういった接客データがクラウドに貯まっていくことでビッグデータができ、それらを活用することで、これから起こるであろう、様々なクレームや相談に対して、お店全体として柔軟に対応ができるようになるという。

 

新たな認定制度「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」を開始。Microsoft Azureを活用したロボアプリ開発の促進を加速

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ソフトバンクロボティクス株式会社 事業推進本部 本部長 吉田 健一氏

最後にソフトバンクロボティクスの吉田氏より、PepperとMicrosoft Azureの連動したサービス開発の促進に向けた新たなプログラムが発表された。

ソフトバンクロボティクスとマイクロソフトは「Pepper meets Microsoft Azure」を掲げ、2016年3月に戦略的協業を発表、さらには2016年冬には連携した商品の発売をすることを目標と、発表したことを吉田氏は振り返った。

そのとき発表された「未来の商品棚」は、PepperとSurface Hub・Surfaceが連携することで、お客様の年齢や性別に応じた接客を行い、そこでPepperが行うセールストークや推薦商品は、AzureのMachine Learningを利用し継続的に改善を行い、最終的には店長がPower BIを使って分析をするものだ。

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未来の商品棚の全体イメージ

「このようなサービスを実現するデバイス、クラウド環境は整ってきている。

ソフトバンクテクノロジーでも様々なサンプルアプリは用意しているが、それよりも、様々なパートナー様にクライアントのニーズに答えたキラーアプリを開発してもらうことが欠かせないと考えている。

ヘッドウォータース社もその一例だ。我々は、パートナー様とともに新たなサービスを作り出し、アプリストアでを販売していきたい。」(吉田氏)

そして、Pepperロボアプリパートナーはすでに400社がエントリされているが、その中で、Azureにも、Cognitive ServicesのAPIにも詳しいパートナーを選出し、新たなアプリパートナー制度として「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」を8月から開始することを発表した。

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さらに、マイクロソフトが事務局を行っている、AzureをIoTで活用を皆で考えるコミュニティ「IoTビジネス共創ラボ」でも新たに「Pepper WG」を開設し、パートナーによる新サービス開発を加速する。

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ここに「ロボアプリパートナーwith Azure」 のメンバーにも参加をしてもらい、一緒にこのAzureのAPIをどのように業務に使えばよいか議論していく。

最終的にはワーキンググループを通してで事例を作り、ともに実証実験を行い、商用化サービスを作ること目的とすると語った。

そしてその 第1回目のワークショップが8月24日に開催されるという。

ワークショップの詳細はこちらから確認できる。
IoTビジネス共創ラボ 第1 Pepper WG ワークショップ

【関連情報】
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