IPA、IoTの高信頼化に向け、産業ロボット分野とスマートエネルギー分野の分野間連携の実証実験を開始

独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)の技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(以下、SEC)は、IoT(*1)の実現にむけて、産業ロボット分野とスマートエネルギー(*1)分野の分野間連携に関する実証実験を2017年2月8日より開始する。異なる分野の機器やシステムを接続して新たな価値を創造する分野間連携は、IoTの大きな特徴の1つであり、安全・安心を確保する高信頼化に関する取り組みは重要なテーマだ。

IoTにより、新たな製品やサービスが登場し、国民の利便性の向上や新ビジネスの創出が期待されている。一方、あらゆるモノがつながるIoTの世界では、想定外のつながりによる安全・安心を脅かす重大な事故の発生が懸念される。それに対応するため、IPAでは2016年3月24日にIoT製品の開発時に留意すべき事項をとりまとめた「つながる世界の開発指針」を策定し、公開した。

2015年度は、「つながる世界の開発指針」に記載した対策の具体例を示すために、産業ロボット分野に閉じた環境で高信頼化のための実証実験を行い、指針の重要性を実証して、その報告書を公開(2016年5月11日)している。IoTにおける新サービスの特徴は、異分野間でのサービス連携やデータ連携であり、その安全・安心対策のひとつとして、「異常検知の高信頼化」が重要になるという。

国内において、IoTシステムどうしをつなぐ仕組みは登場しているが、安全・安心を維持するため、「システムの高信頼化をどのように担保するか」の議論は始まったばかりだ。同実証実験は、製品品質が高いと言われている日本の産業界が、IoT分野でも「高品質」「安全」で先行するための実証となり、国際競争力の強化にもつながる。

実証実験では、分野間に特化した異常検知の高信頼化の例として異なる2つの情報を組み合せた異常監視機能の実現性を実証する。異なる2つのシステムが連携してサービスを提供する環境において、異なる2つの情報(例:電力情報と生産稼働情報)を組み合わせることによって、異常監視の信頼性を上げる実装例を示す。

また、同実証実験では、今後活用が増加すると予想されるオープンな規格を利用。具体的には、産業ロボット分野において共通的な方法で各装置にアクセスするための接続仕様「ORiN (オライン)(*2)」と、スマートエネルギー分野においてセンサ類、住設機器、家電製品等に適用可能な接続仕様「ECHONET Lite(エコーネットライト)(*3) 」を利用するという。

実施に際しては、IoTの高信頼化を推進している「独立行政法人情報処理推進機構(IPA)」、ORiN推進母体である「ORiN協議会」、ECHONET Liteの推進母体である「一般社団法人 エコーネットコンソーシアム」、およびECHONET Lite仕様に沿った実装ノウハウを有する「学校法人 幾徳学園 神奈川工科大学」の4者が、それぞれの有する技術、ノウハウ、環境を持ち寄り、IPAが実験を主導的に推進する。

今後、IPAでは「つながる世界の開発指針」で示した異常検知の高信頼化の重要性を実証し、周知することにより、産業界でのリスクの認識と対策の進展に寄与するものであり、将来的には国内のみならず、IoTで先行しているドイツ・米国などの国々との高信頼化接続実験に発展させていくことを考えているという。

(*1) スマートエネルギー:情報通信技術により効率化された電力エネルギーネットワーク。
(*2) ORiN(Open Resource interface for the Network):ORiN協議会により制定された工場情報システムのための標準ミドルウェア仕様として、製造現場の各種装置に対して、メーカーや製品の違いを超えて統一的なアクセス手段を提供するソフトウェア。現在「ORiN2 SDK」として実用化されており、パソコンのアプリケーションから、異なるメーカーのロボット、工作機械などの制御装置の情報に共通化された方法でアクセスできるため、ソフトウェア開発の工数削減やソフトウェアの再利用性、保守性の向上が期待されている。
(*3) エコーネットコンソーシアムが策定した通信仕様。エネルギーマネージメントサービスをはじめとして、リモートメンテナンスサービス、快適生活支援サービスなどを対象に定めた通信仕様であり、ISO/IEC規格およびIEC規格として国際標準化された。

【関連リンク】
情報処理推進機構(IPA)
ソフトウェア高信頼化センター(SEC)
日本ロボット工業会ORiN協議会(ORiN)
エコーネットコンソーシアム(ECHONET CONSORTIUM)

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