製造現場のノウハウをデジタル化、IoTを活用し熟練技能を伝承~日立製作所とダイキンの協創

2017年10月よりダイキン工業と日立製作所は、IoTを活用し熟練技術者の技能伝承を支援する新たな生産モデルの確立に向けた協創の取組みを発表した。

日立のIoTプラットフォーム「LUMADA」のソリューションコアであるという画像解析技術などを用いて、熟練技術者と訓練者の技能をデジタル化し比較・分析することができるシステムをダイキンの滋賀製作所の空調機製造における”ろう付け”プロセスに導入する。

ろう付け:部材を接合する方法の一種。
接合する部材よりも融点の低い合金(ろう)を溶かして部材の隙間に流し込み接合する。空調機の多くの部分がろう付けにより接合がされていて、作業員全体の約10%がこの作業に関わる。空調機製造作業において品質を維持するためには一番重要な技術とされている。

世界150点以上へ事業展開しているダイキンは生産拠点もグローバルに84拠点にひろがる。

日本の工場はマザー工場の位置付けで、グローバルでの技能伝承、技術者の育成による人材力の強化が一つの大きなミッションになっていると、ダイキン工業株式会社 執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター センター長の米田 裕二氏は説明する。

具体的な育成プログラムとして、空調機に必要な戦略技能を設定し、その技能を伝承するマイスター制度を2001年から開始しグローバルへ展開、技能の底上げを行い世界同一品質を目指しているが、グローバル拠点の急拡大に対応するために技能者育成の効率化が課題となっている。

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空調機品質確保には、製造工程における“ろう付け作業”が非常に重要であり、熟練技能者は「眼」からの状態を把握し「手」を動かすことを繰り返し高度な技術を実現しているという。

今回の取組みは、この熟練者の“動き”と”状態”を先進の画像解析技術で計測・解析し、技能やノウハウのデジタル化を通じて技能者育成の効率化を図ろうとするものであるという。

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株式会社日立製作所  産業ソリューション事業部 産業製造ソリューション本部 本部長 森田 和信氏

日立製作所の森田氏は、「日本の製造業がどこで戦うのかということも踏まえて、IoT、AIが注目が浴びているが、今回の協創はそこだけではなく、現場から上がってくる生データをどう作り出して、それをどううまく活用するのかをコンセプトとしている」と語った。

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ダイキンでは、コスト削減や効率化で部品の外注化、生産ラインの自動化が進むにつれ、昔ながらの熟練者が培った技能を技能者が習得する機会が減っている。また、急速なグローバル化の進展によってそもそもそれに対応しうる技能者も不足しているという課題を抱えている。

これに対して日立はこれまで培ってきたセンシング技術と画像解析技術の応用と、グローバルレベルの技能伝承をめざした熟練ノウハウの「デジタルカプセル化」により、ろう付け技能卓越者の技能を客観的な数値評価による技能訓練の効率化をはかるとともに、習熟度レベルのバラつき低減によるろう付け品質向上の実現をめざす。

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森田氏はさらに、「マンマシンマテリアルというものをどのように数値化をするのかが需要になる。」と語る。

ダイキンは技術の伝承するにあたり重要な計測項目として18項目を洗い出し、日立がその18項目をどうやってセンシングして 分析するのかについて取り組んだ。

それにより、ろう付け現象の計測には「CCDカメラ」「サーモカメラ」、作業動作の計測に「KINECT」や「加速度センサ」、さらには視線を捉える「アイトラッカー」により、それぞれを数値化し解析することで、センシングデータと品質の相関を導き出し、温度分布と作業者の動作には関連性があることがわかったという。

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上記は熟練のマイスター、訓練生、初心者3名の実際のデータを可視化し比較した資料である。それぞれの手の動きに連動して、マイスターは均一な温度分布を生成しており、訓練生は過熱領域が発生してしまっており、初心者は適正温度領域が下ズレしていることが、デジタルで可視化されることで、この3者の違いが一目瞭然となった。

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このように、ろう付け熟練技術者の手の動きやトーチの角度・角速度、ろう材と母材の供給角度・距離・角速度などの動作や母材の温度変化をカメラやセンサーなどを用いて時系列に収集・デジタル化し、標準動作モデルを構築し、訓練者の作業動作と統計的に比較、評価する取組みをこの10月から実証していく。

これにより短期間での技能習得や作業の標準化・レベル向上を図り、そして、品質の安定化と生産性の向上、国内外での製造現場における人材育成につなげていくことを目指していくとのことだ。

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