ドローンから3Dプリンタまで様々なIoT製品が登場 ーSEMICON JAPAN 2017 WORLD OF IOT②

SEMICON Japan 2017の特別展、WORLD OF IOTが、先週ビッグサイトで開催された(12月13日~15日)。今年で4回目を迎える同展示会では、80社以上の企業が出展し、多くの講演やセミナーが行われた。

レポート第一弾では、スマートヘルスケア分野に着目し、セミナーや展示会の内容を紹介した。

スマートヘルスケアを実現する様々なセンサー技術 ーSEMICON JAPAN 2017 WORLD OF IOT①

今回、第二弾では、ドローンや3Dプリンタ、ロボットなど様々な分野のIoT製品・ソリューションを紹介する。

all about DRONES

ドローンから3Dプリンタまで多様なIoT技術が登場、SEMICON JAPAN 2017 WORLD OF IOTレポート2

今年は、「all about DRONES」として、ドローン専用のブースが設けられていた。

上の写真にあるのは、ドローンの操縦を体験できるコーナーだ。中国のドローンメーカーDJIの代理店であるSEKIDOが主催した。

ドローンから3Dプリンタまで多様なIoT技術が登場、SEMICON JAPAN 2017 WORLD OF IOTレポート2
DJIの最新ドローン「PHANTOM4 PRO」

飛んでいる白いドローンは、DJIの最新ドローン「PHANTOM4 PRO」だ。

一つ前のモデル、「PHANTOM4」は障害物センサーが前後のみ搭載されていたが、この新型では左右にも搭載され、東・西・南・北の4方向の障害物回避が可能になった。また、カメラの画素数も向上している(2000万画素)。

また、同製品は4方向の障害物検知の他に、下部方向にもセンサーがある(合計5方向)。

下部方向のセンサーにより、ドローンは、自分が飛んでいる直下の地面の状態を認識することができる。そこで、風が吹くなどして操縦者のコントロールとは関係なく動いてしまった場合、ドローンはその前に認識していた状態とずれた後の状態の「差異を認識」し、位置の修正をはかるのだという。

このような仕組みにより、使用者はより安全・簡単にドローンを操縦することが可能になる。

ドローンから3Dプリンタまで多様なIoT技術が登場、SEMICON JAPAN 2017 WORLD OF IOTレポート2
ドローンの前方カメラで撮影している様子が、右の「PHANTOM4 PRO Plus」のディスプレイに表示されている。

この「PHANTOM4 PRO」単体の販売価格は、単体で204,000円(税込)だ。DJIのラインナップとしては、コンパクトでリーズナブルな価格帯の製品になる。

また、ドローンが見ている映像をディスプレイで確認できるリモートコントローラ「PHANTOM4 PRO Plus」も付属品として販売されている(本体とあわせて税込239,000円)。

「PHANTOM4 PRO」の飛行可能時間は約30分。スマートホンやタブレットの画面から飛行ルートを指定すれば、自動飛行が可能だ。

同製品は、たとえば、高所にある構造物の点検などに活用が期待される。人が行おうとすると足場を組むなどとしてコストがかかるケースが多いが、ドローンを使えば数回でもそのコストを削減できるかもしれない。

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産業用ドローン「MATRICE 200」

一方、こちらは産業用ドローン「MATRICE 200」で、DJIのラインナップとしてはハイスペックな製品だ。

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左下:可視光カメラ
右下:赤外線サーモカメラ
中央:前方可視光カメラ
左右:障害物センサー

こちらは、「MATRICE 200」の機体前方。左下にあるのが可視光カメラ、右下が赤外線サーモカメラだ。

カメラの付け替えは可能だが(PHANTOM4 PROは不可)、両タイプのカメラを搭載するケースとしては、太陽光パネルの点検がある。

太陽光パネルは、故障による発電や経年劣化によって発熱が起きる。従って、パネル上の温度の上昇を見れば異常を検出できるために、赤外線サーモグラフィカメラを使用する。

しかし、サーモカメラでは、監視者が、ドローンがどこを点検しているのかわからないために可視光のカメラも必要となるのだ。

次に、中央にあるカメラが、前方を確認するカメラだ。前述の二つのカメラは点検などの際に必要な方向に動かすので、常に前方を確認するカメラが必要だ。また、中央のカメラの左右には、前方の障害物センサーがある。

このドローンは、さらに上部にもカメラを搭載することが可能なため、橋梁の裏側の点検などに活用することもできる。

産総研の、ラジオつき野球帽

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レポート1で、ヘルスケア分野におけるFHE(フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス)の技術について紹介した。

一方、こちらの産総研のブースでは、FHEを活用したラジオつき野球帽を展示していた。

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野球帽に縫い込まれたフレキシブルラジオ(厚さ:120 μm)

ラジオが縫い込まれた野球帽、というのは一つの例だが、つばは湾曲しているうえ、厚みも制限されるために、ここに回路を埋め込むのは大変なことだ。

しかし、産総研の技術では、このつばの部分に基板厚み120 μmのラジオを埋め込むことができる。薄くて曲がる環境で使うようなデバイスに、この技術が期待される。

触り心地を人工的につくる、ビット・トレード・ワンの触感デバイス体験モジュール

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空のコップだが、水が入る、砂が入る、パチンコ玉が入っている、などの触感が得られる。

ラズベリー・パイの拡張ボードなど様々なオリジナル製品を手がけるビット・トレード・ワンは、ユニークなデモ製品を展示していた。

たとえば、写真にあるようなプラスチックのコップ。何も入っていないが、たとえば幾つかあるパターンの中から、「コップに砂を入れた場合」を選択すると、本当に砂が入ってくるような触感が得られる。

これは、たとえば「コップに砂を入れた場合」の音声信号をソースにして、振動アクチュエータで微細振動を作り出すことで、触感フィードバックを再現しているのだという。

他の例として、今年の3月に発売された任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」には、このような仮想の触感が得られる、触感フィードバックの機能が搭載されている。

今後、VR製品のひろがりにあわせて、触感を再現することのニーズも高まるかもしれない。そのようななかで、触感フィードバックを製品に取り入れたい企業向けに、簡単にトライできるモジュールをビット・トレード・ワンは提供している。

3DプリンタメーカーのCarbon3DとJSRのコラボレーション

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本年4月に、アディダスが最新の3Dプリントスニーカー「Futurecraft 4D」を公開、2018年中に10万足以上まで量産すると発表し注目を集めた。

米国のCarbon3D社は、この「Futurecraft 4D」を開発し、製造を担うメーカーだ。

日本の大手化学メーカーJSRは昨年、同社に出資。同展示会のブースにもJSRの担当員がおり、日本での取り組みにおいて協業しているという。

ドイツが提唱したIndustry 4.0において、将来的には、部品メーカーがその製造ノウハウをプラットフォーム上に公開するというエコシステムが想定されている。

そのエコシステムにおいては、デジタルデータがあればその場で製造ができる、3Dプリンタが重要な役割を担う。

たとえば、日本のメーカーが製品Aをつくるために、ドイツでしか製造していない部品Bが必要であるとする。しかし、今発注しても納期は1週間後になるという場合があるとする。

ここで3Dプリンタとエコシステム上の部品Bのデータがあればどうか。もしかしたら、数時間で部品Bが手に入るかもしれない。このようなことが起これば、世界の製造業は大きく変化するとして、3Dプリンタは注目されている。

しかし当然、3Dプリンタでは製造できない部品も数多くある。また、その3Dプリンタでつくった部品が、本当にその用途に耐えられるのか、費用対効果は従来の方法と比べてあるのか、などの問題もある。

Carbon3DとJSRの取り組みにおいて、前述のIndustry 4.0におけるエコシステムは想定しているという(ブース担当員)。

また、Carbon3Dの3Dプリンタには各所にセンサーが搭載され、製品の不具合が起きた場合にトレースし、分析するIoTプラットフォームが装備されているという。

JSRの出資後、まだ具体的な取り組みの発表はないが、今後のプレスリリースに期待したい。

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Carbon3Dの最新の3Dプリンタ「M2」

さまざまなパートナーとロボット事業を手がけるハピロボ

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ハウステンボスの子会社として本年1月設立されたハピロボ(hapi-robo st)は、様々な企業とパートナーシップを組み、ロボットの開発・実証実験・市場開拓を手がけている。

写真にあるロボットは、中国のロボットメーカーU-Chain AI Technologyと共同開発したものだ(実用化はこれから)。音声対話、画像認識などの機能を搭載し、ロボットのインターフェイスを通して、テレビ電話や健康管理、音楽を聴くなどの様々な操作ができる。

用途は、高齢者の見守りや、家庭での使用が想定されている。

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ハピロボは、インテルとドローンの共同事業も行っている。本年7、8月には、長崎のハウステンボスで、インテルのドローン「Shooting Star」300機によるライトショーを行った。

写真にあるのは、その最新の製品だ。コンパクトで、カメラの付け替えが可能なタイプ。人が容易に点検できないインフラ構造物の点検などへの使用が期待される。

また、ハピロボは今月より、GMOクラウドとハウステンボスと共同で、「スマートゴミ箱」の実証実験も開始するなど、様々な分野のロボット事業を支援している。

ゴミの量をIoTで見える化、GMOクラウド・ハウステンボス・ハピロボの3社、「スマートゴミ箱」の実証実験を開始

村田製作所のセンサー技術で道路の路面状況をリアルタイム検知

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村田製作所はソフトバンクと共同で、道路の路面管理をリアルタイムで可視化(マッピング)するソリューションを開発している。これが実現すれば、路面状況がより悪化する前に対策が打てる。また、路面が悪くなりやすい場所の分析、予知保全なども可能になると期待される。

これにより、従来、自治体などが行っている専門家による定期点検、大規模修繕などを効率化し、メンテナンスコストを削減することにつながる。

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方法としては、村田製作所の振動・音・画像・位置などを計測するセンサーシステムを搭載した車が道路を走ることで、リアルタイムでその路面状況を検知し、可視化するのだという。

「路面状況の情報まで含まれたデジタルの地図」が理想的だと考えられるが、それを可能にするシステムはもう既に完成しており、あとはセンサーを搭載したたくさんの車を走らせるという、実証実験を待つのみとのことだ(実証実験の詳細については未発表)。

【関連リンク】
セキド(Sekido)
ディー・ジェイ・アイ(DJI/大疆创新科技)
産総研(AIST)
ビット・トレード・ワン(BitTradeOne)
ジェイエスアール(JSR)
carbon3D
ハピロボエスティ(hapi-robo st)
村田製作所(Murata Manufacturing)
ソフトバンク(SoftBank)

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