建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナー協業事例とLANDLOG提供アプリを発表

コマツ、SAP、NTTドコモ、オプティムの4社からなる合弁会社、株式会社ランドログは、建設生産プロセス全体をつなぐIoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」を正式リリースするとともに、パートナー企業向けの新たなプログラム「LANDLOG Partner」の提供を開始すると発表した。

同社は、2月20日、先行パートナーやメディア向けに”LANDLOG Partner”説明会を開催。前半のパートでは、パートナー制度「LANDLOG Partner」の背景とその概要について説明を行った。

また、後半のパートでは、先行パートナーとの協業事例ならびにLANDLOGが提供するアプリケーションについて発表があった。

前半のパートナー制度「LANDLOG Partner」の背景とその概要については、すでに下記の記事で紹介している。

目指すのはエコシステムによる協創、ランドログが建設生産プロセスの変革を加速するパートナー制度「LANDLOG Partner」の提供を開始

当記事では、ランドログと先行パートナーの協業事例ならびにLANDLOGが提供するアプリケーションについて紹介していく。

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

LANDLOGは、建設現場にかかわるあらゆる「モノ」のデータを収集し、見える化する「可視化デバイス」、またそのデータを一元管理するプラットフォーム、そしてアプリケーションの3層からなる。

アプリケーションの層においては、LANDLOGが提供するものとサードパーティが提供するものがある。今回、その両方においていくつか事例が発表されたため、以下で紹介していきたい。

先行パートナーとの協業事例

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表
株式会社ランドログ CMO 木村宇伯氏

株式会社ランドログ CMO 木村宇伯氏より、先行パートナーの紹介があった。木村氏は冒頭、「わたしたちランドログだけでは、この業界を変えることはできません」と語り、デバイス、アプリケーションなどさまざまな分野のパートナーと協業していくことが重要だとした。

ランドログは現在、以下の9社のパートナー(企業・自治体)と協業しているという。今回、そのうちの5社(太字)が登壇し、その内容を発表した。また、石川県との協業事例については、ランドログ木村氏より発表された。

  • Atos株式会社
  • 陰山建設株式会社
  • 東京海上日動火災保険株式会社
  • 株式会社MonotaRO
  • 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
  • 石川県
  • 株式会社NTTドコモ
  • 豊田通商株式会社
  • 三井物産株式会社

Atosの建設現場向けスマートグラス「G-eye」

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

Atos株式会社のプレゼンでは、代表取締役社長 渡邊直也氏(トップ写真・右)と社員の関根氏(トップ写真・左)が実際にスマートグラス「G-eye」をかけて登壇した。

同社は、埼玉県加須市に拠点を持つ、土木工事業を手がける企業だ。早くからICT建機や3D測量によるスマートコンストラクションを導入し、生産性の向上を進めてきた。

その取り組みが周囲に評価され、工事案件の受注は着実に増え、若手社員もたくさん入ってくるようになったと渡邊社長は語る。

しかし一方で、課題もでてきたという。

一つは、受注が増えることで、業務の負担が大きくなってきたことだ。特に負担が大きいのは、現場の立ち合いだという。たとえば、事務所で文書を作成している最中に、現場から連絡が入り、作業を中断して急遽現場にいかないといけないということが起こる。

「現場を見ずに電話ですませると、解決したように見えても、のちのちトラブルにつながることもあります。行かざるをえません」と渡邊社長は語る。

また、建設現場は複数にまたがり、事務所からは遠方であることも多いため、現場に駆けつけることの負担はとても大きいのだ。

もう一つは、若手社員の経験がまだ浅いため、サポートするベテラン社員の負担が大きくなったということだ。

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナー協業事例とLANDLOG提供アプリを発表
「G-eye」を使って、現場(左)の状況を事務所(右)のスタッフと共有している様子

同社では、このように、現場に駆けつける際の負担を減らすこと、若手社員を効率的にサポートするなどの対策を余儀なくされることとなった。そこで開発されたのが、スマートグラス「G-eye」だ

商品名にある「G」は、GenerationのGであり、「次世代の目」という意味だ。オプティムのスマートグラスソリューション「Optimal Second Sight」のOEMとして、建設現場向けに機能強化されたものだという。

このスマートグラスには、現場にとって二つのメリットがある。

一つは、高精細のカメラが搭載されており、現場の状況を遠隔地のスタッフとリアルタイムに共有することができるということだ。そのため、現場で何か問題があったとき、あるいはベテラン社員のアドバイスが欲しいとき、現場と事務所、お互いが動かずに問題解決に向かうことができるのだ。

もう一つは、測量図面などの情報をスマートグラスに送信し、現場の担当者はそれを見ながら作業にあたれることだ。

同社は、スマートグラス「G-eye」は、本年6月をめどにパートナーユーザーに対し最終テストを行うという。そして、7月からパートナー限定でリリースを予定しているということだ。

なお、プレゼン終了時に関根氏は、「わたしたちがかけていたスマートグラスには、実はカンペがしこまれていました」と語り、「G-eye」の高度な機能をアピールした。

陰山建設の現場ノウハウがこめられた「Building more」アプリ

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナー協業事例とLANDLOG提供アプリを発表

陰山建設は、福島県郡山市に拠点を持つ建設会社だ。40名の社員のうち20名がドローンパイロットの免許を持っており、現在、50%強の工事でドローンを活用しているという。

同社は、ドローンの活用やICT施工に早くから取り組んできたが、その一方で、まだまだ課題もあるという。

たとえばドローンの撮影においては、「着工時と竣工時の比較はできますが、その間の施工時の状況においてはどうしてもブラックボックスになってしまい、お客様になかなかお伝えできないのが現状です」と、同社の代表取締役 陰山正弘氏は語る。

そこで、同社は「情報」という観点から建設業を捉えなおし、プロセスを再設計する「Construction Process Reengineering(CPR)」をかかげ、IoTを活用した建設向けアプリ「Building more」の開発に至ったという。

「Building more」は、現場のノウハウを持った同社が直接つくりこんでいるところが特長だ。具体的には、施工スケジュールや図面の共有、LANDLOGの日々ドローン/日々カメラによるリアルタイムの画像提供など、さまざまな機能がある。

ランドログとの協業においては、陰山建設は実証実験のフィールドの提供、あるいは現場ノウハウのフィードバックを行い、一方、ランドログは最新のクラウドサービスやIoTデバイスを提供するというような相互協力の関係を築いているという。

東京海上とLANDLOGがつくる4つの損害保険サービス

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

東京海上日動火災保険は、ランドログとの協業により、地方創生や人材・人出不足対策といった社会的な課題の解決に貢献していきたいとした。そのためには、「安全」で「生産性の高い」現場をつくることが重要だとして、具体的に以下の4つのソリューションを提供している。

  1. 事故の予防・予測
  2. 緊急医療サポート
  3. ランドログ専用保険
  4. 遠隔事故調査

一つ目の事故の予防・予測については、同社は大量の「事故データ」と「事故削減ノウハウ」を持っており、それをLANDLOGに集まってくる現場のデータと有機的にかけあわせることで、高度な事故予測・予防ができるということだ。

次に、緊急医療サポートは、現場で何か体調に問題があった時に、東京海上グループのサービスと連携して救命治療の専門医に連絡できるというものだ。

現場では、救急車を呼ぶべきかどうか、初動の判断を迷うことも多いということで、このようなサポート体制は重要だという。今後は、ウェアラブルと連携して自動発報も検討していくということだ。

三つ目のランドログ専用保険では、LANDLOGのデータを保険の内容に取り入れる、あるいはLANDLOGのアプリを使って簡単に保険に入れる仕組みをつくるというものだ。

本来、保険は必要事項を書類に書いて申し込むという手間のかかる作業はあったが、そのフローを削減して生産性を向上させるという狙いがある。

最後に、遠隔事故調査は、ドローンやカメラを使って、現場の状況を記録、あるいは事故発生検知をすることで、事故後に現場を調査する手間などを減らすというものだ。また、事故調査の資料を作成する際には、LANDLOGのデータと連携することで手間を削減しすることができるという。

モノタロウとLANDLOGがプラットフォーム連携、間接資材のジャストインタイムを目指す

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

モノタロウは、間接資材(MRO:Maitanance Repair Operation)のEコマース事業を手がける企業だ。同社は、1,300万点におよぶ間接資材の購買データを持っている。

間接資材の購買の特長は、「ロングテール」だという。つまり、商品一個あたりは少額だがまとめて買うことが多く、一度注文するとその後しばらく注文することはない。しかし、それらを積み上げていくとその購入金額は非常に大きくなるというものだ。

そのため、購買者はコスト削減をはかりたいと考えるが、前回はいつ、だれが何の商品を何個買ったのかがわからない、調べるにしてもどう検索していいのかわからない、ということになり対策を打つことが難しい。

そのような顧客の課題を解決するため、同社は間接資材の購買データを管理するプラットフォームをつくったという。そして、今回の協業により、ランドログのユーザーに対しては、そのプラットフォームをまるっと提供するというのだ。

今後は、LANDLOGのビッグデータを解析し、現場の状況から最適な商品を提案し、また最適なタイミングで現場に商品を届ける「間接資材のジャストインタイム」などのサービスもつくっていくということだ。

SOMPOとLANDLOGがつくる、新たな工事向けリスクソリューション

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

損保ジャパン日本興亜では、従来の損害保険だけではなく、デジタルの力を活用し、事故が起きないためのリスクソリューションも手がけているという。

たとえば、これまではスマートフォンを活用したテレマティクス保険や、IoT/AIを活用した工場設備の故障予測、ドローンを活用した損害調査など、デジタルを技術を活用したソリューションを手がけてきた。

そして、今回のランドログとの協業により、それらのデジタル技術の活用の幅を、工事分野にも拡大していきたいということだ。

具体的には、LANDLOGプラットフォームにあるデータやデバイスなどのさまざまなリソースを、SOMPOやそのパートナーが持つデータサイエンティストの分析ノウハウ、あるいは保険支払い実績などのデータをかけあわせ、新たな「工事向けリスクソリューション」をつくっていくという。

石川県・オプティムと協業、スマート林業「FOREST SCOPE」

ランドログは、石川県、オプティムと協業し、ドローンやICTハーベスタ(ハーベスタ:木の伐採を行う林業機械)を活用したスマート林業「FOREST SCOPE」の取り組みを行っている。

「FOREST SCOPE」は、「資源量調査の効率化」と「丸太計測・仕分け作業の効率化」の2つを実現し、4月にはソリューションとして提供するという。

資源量調査の効率化

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

森の資源量調査においては、樹木本数・樹高・位置・材積などをすべて計算しなければならない。従来、これらの作業はすべてヒトによって行われてきた。

たとえば、ヒトが実際に木の前に行ってノギスを使って太さをはかったり、測光器を使って樹高をはかったりする。そして、その結果を手帳に書き込み、さらにその数字をパソコンに打ち込み、計算するということをしているのだ。

しかし、ドローンとアルゴリズムを活用すれば、3Dのデータとして木の本数や太さ、樹高などの情報をいっきょに計算できるという。

上図の左にあるのが、ドローンによってつくられた森の3D画像だ。右は、その森に木がどれくらいあるかを示している(黄色い丸が木を示している)。また、その黄色い丸をクリックすると、緯度や経度、樹高などのデータを見ることができる。

丸太計測・仕分け作業の効率化

林業において、木は伐採したあと、商品として使えるようハーベスタで加工する必要がある。そこから、さきほどと同じく、その加工した木材の長さや太さのデータは、ヒトが計測し、記録し、パソコンに打ち込むなどの作業を行っていた。

しかし、ICTハーベスタを使えば、自動で木材を加工できるだけではなく、木材の長さや太さのデータもLANDLOGのプラットフォーム上で自動収集できるという。

LANDLOGが提供するアプリケーション

ランドログ木村氏より、LANDLOGが提供する3つのアプリケーションが紹介された。

測量会社向け、3D測量業務支援アプリ「UNI SURVEY」

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

LANDLOGの3D測量ソリューションと言えば日々ドローンがあるが、それは日々の工事の進捗を追いかけることが目的とされている。一方、今回のUNI SURVEYは、測量会社向けのアプリで、工事の着工と完工の際に使うものだという。同じ測量ソリューションでも、用途が異なっているのだ。

UNI SURVEYの特長は、コストメリットだ。

3D測量を行おうとすると、かなりの導入コストがかかる。たとえば2ヘクタールの測量で、写真は300枚は必要だと考えらえるが、その処理のためには14時間はかかる。

また、ドローンは1台100万円以上かかるとする。点群生成処理をするソフトウェアは70万~200万程度。次に、点群処理を行うソフトウェアで100万円。高性能PCで100万円かかるとすると、かなりのコストになる。

しかし、UNI SURVEYは、ドローンから上がってくる写真データをもとに、クラウド上で点群生成処理などを行うため、ソフトウェアも高性能PCも要らない。また、処理は6時間程度で完了するという。

必要なコストとしては、クラウド利用料として月額10,000円。点群の変換処理1回あたり3,000円程度。また、ドローンは10日間の使用で24,800円だという。コストメリットのある料金設定となっている。

LANDLOG標準の「動態管理アプリ」

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

次は、LANDLOGが提供する、スマートフォンを使った動態管理アプリだ。これは、LANDLOGユーザーが無償で利用できるものだという。誰がどこの現場にいるのかを可視化でき、コミュニケーションツールとしても使えるという。

ダッシュボードで建設現場のヒト・モノの動きを見える化

建設生産プロセスの変革を加速する「LANDLOG Partner」、先行パートナーの協業事例とIoTプラットフォーム「LANDLOG」の標準アプリケーションを発表

最後は、現場におけるヒト・モノの状態を可視化できるダッシュボードだ。こちらも、ユーザーが無償で使えるLANDLOG標準アプリとなっている。

図の左上には、6つの建設現場の稼働状況が数字で表示されている。そこから、たとえば「郡山工場」をクリックすると、「郡山工場」の詳細なデータを見ることができる。

それが、その右にある画面だ。そこでは、郡山工場の稼働率だけでなく、ヒトや建機の数がわかる。さらに、たとえば「油圧ショベル 2」という部分をクリックすれば、その2台の油圧ショベルの型式や稼働状況などのデータも詳細に見ることができるということだ。

【関連リンク】
ランドログ(LANDLOG)
コマツが仕掛ける、IoTプラットフォーム「LANDLOG(ランドログ)」。その思惑と、スマートコンストラクションの現状 -コマツ 四家氏インタビュー
Atos
陰山建設(KAGEYAMA)
東京海上日動(TOKIO MARINE NICHIDO)
モノタロウ(MonotaRO)
損保ジャパン日本興亜(Sompo Japan Nipponkoa)
石川県公式ホームページ

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