古野電気株式会社は、大島商船高等専門学校と2023年6月9日に共同研究契約を結び、VDES(VHF Data Exchange System)による海洋デジタル通信の実用化に向けた実証実験を実施した。
そして今回、電波伝搬の検証を終え、他船航路情報交換を始めとするVDESデータ交換サービスの実用性検証による実験データ取得に成功したと発表した。
VDESは、次世代AIS(船舶自動識別装置)とも呼ばれる新たな海上通信装置で、AISの代替となることが期待されている。
従来のAISと比べて、通信レートが最大307kbpsと最大32倍速い。また、船舶同士や船舶と陸上局の間で双方向のデータ通信が可能で、衛星通信を利用することで通信エリアが大幅に拡大する。
従来の一方向の通信がVDESにより双方向通信になることで、高効率で信頼性の高いデータ交換が可能になり、船舶のデジタル化を促進することが期待されている。
今回の実証実験は、大島商船高専が保有する練習船大島丸を活用して、周防大島近海で実施。VDES通信により航海関連情報を交換し、ブリッジに設置した古野電気で開発中の「3D Bird Viewシステム(VRナビゲーションシステム)」を使用して、表示・検証した。また、VHF無線機や既存の航法装置との連携システムを構築した。

そして、船陸間および船船間でのVDESの通信実証実験を3回実施した。1回目は、船陸間2拠点での電波伝搬の実証実験を実施し、2回目は、船船間2拠点での電波伝搬の実証実験を実施と、データ交換サービスの実用施の検証を行った。3回目は、船陸間3拠点での電波伝搬実証実験と、データ交換サービスの実用性の検証を行った。

その結果、VDESを利用した「陸上:学校建屋~練習船大島丸~実習船すばる」の船陸間3拠点で、VDESによる「電波伝搬品質の検証」および「データ交換サービスの実用性の検証」について実用性があることが確認された。
なお陸上側は、今回の実験では船舶局相当の端末で陸上局を模擬して実験を実施したとしている。
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