国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)、日本電気株式会社(以下、NEC)、国立大学法人東北大学、トヨタ自動車東日本株式会社は、キャリア網とローカル5Gのハイブリッドネットワークを活用した移動体との無線通信安定化を検証する実験を開始した。
NICTとNECは、2015年から製造現場の無線化を推進する「Flexible Factory Project」の活動を行っている。この活動を通じて得られた知見を活用し、異種無線通信の協調制御により無線通信を安定化するSRF無線プラットフォームの技術開発を進めてきた。
2017年7月には、SRF無線プラットフォームに高い関心を持つ企業と共に「フレキシブルファクトリパートナーアライアンス」を設立し、技術仕様の標準化を推進した。2023年1月には、「SRF無線プラットフォーム技術仕様書Ver.2」を策定し、公開した。
このVer. 2は、既存の無線LANに加えて、LTEや5G回線も用いたハイブリッドネットワークの利用が可能だ。これにより、広いエリアに無線通信を提供できるLTEやキャリア5Gと、工場の建屋のように金属で囲われて外部からの電波が届きにくいところに局所的に無線通信を提供できるローカル5Gを組み合わせることで、無線通信品質をより安定化させることが可能となった。
そしてNICTとNECは、「SRF無線プラットフォーム技術仕様書Ver. 2」に準拠した無線通信システムを開発した。
このシステムにより、サービスエリアが異なるキャリア網とローカル5Gによるハイブリッドネットワークでの無線通信品質が安定する。
また、システムの有効性を実際の製造現場で確認するため、トヨタ自動車東日本の宮城大衡工場にて、キャリア網とローカル5Gを切り替えて移動体との間の無線通信品質を評価する実験を開始した。
なおNECはこの実験に向けて、6月17日に東北総合通信局からローカル5Gの実験試験局の免許を取得したとのことだ。
今後、NICT、NEC、東北大学、およびトヨタ自動車東日本は、今回構築した実験環境を用いてキャリア網とローカル5Gの切り替えによる移動体との無線通信評価を行い、無線通信を安定供給できることの実証を目指す。
また、実証実験の結果を活かし、SRF無線プラットフォームを工場における安定した無線通信を利活用できるプラットフォームとして実用化を目指し、技術開発および標準仕様の策定と認証制度の整備を推進するとしている。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。