AIの高性能化が急速に進む一方で、大量の学習データや高い計算能力、さらには大きな電力消費を必要とすることが企業のAI導入における課題となっている。
特に製造現場やインフラ監視など、通信環境が制限される場所やリアルタイム処理が求められる状況では、クラウドに依存しない軽量かつ省電力なAI技術の実現が強く求められていた。
こうした課題を受け、東北大学電気通信研究所の鬼沢直哉准教授らの研究グループは2026年5月7日、フランスのIMT Atlantique大学と共同で、少量のデータから効率的に学習して通信不要で動作する新たなAI技術を開発したと発表した。
この技術は、数枚から数十枚程度の少量のデータからでも学習できる「Few-shot学習」と、大規模なAIモデルの知識を小型モデルへ引き継ぐ「知識蒸留」を組み合わせることで、精度向上と消費電力削減を両立する技術だ。
同手法を用いた画像認識の評価実験では、軽量なAIモデルでありながら、従来手法と比較して最大約14%の認識精度向上を達成している。
さらに実機評価においては、消費電力を従来比で約37%低減しつつ、2.6ミリ秒という極めて高速な処理を実現した。
これにより、クラウド処理に依存せず端末側(エッジ)だけで賢く判断する実用的な「エッジAI」の構築が可能となる仕組みだ。

活用領域としては、医療、製造、インフラ監視など、幅広い産業分野への応用が期待されている。
なお、東北大学は、2026年5月4日に開催された信号処理分野の国際会議「ICASSP 2026」にて同成果を発表している。

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