コベルコシステム、神鋼鋼線工業のスマートファクトリー化推進を支援

コベルコシステム株式会社は、神鋼鋼線工業株式会社のスマートファクトリー化を支援し、IoT基盤の構築およびMES（製造実行システム）データと連携したデータ分析環境を整備し、2025年5月末より本格運用を開始したことを発表した。

コベルコシステムと神鋼鋼線工業は、2023年のPoC（概念実証）を経て、2024年10月からは本格的な開発・構築フェーズに移行し、今回2025年5月末より本格運用を開始した形だ。

今回構築されたIoT基盤およびMESデータと連携したデータ分析環境により、MESデータだけでは捉えきれなかった設備の停止原因を特定し、短時間停止を削減することに成功した。

また、製品毎、設備毎の製造条件を時系列で分析し、不良の原因特定と再発防止に貢献する。

さらに、ラインスピードや流量などを可視化することにより、改善に向けた具体的な指標を提示するといった取り組みや、操業条件異常の即時検知に対する迅速な対応を支援するといったことも実行できているのだという。

今後神鋼鋼線工業は、2025年中に主要設備におけるデータ分析モデルを構築し、2026年からは尼崎事業所、ロープ製造所尾上地区、および二色浜地区の3工場において、データ分析モデルの横展開を予定している。将来的には、蓄積データと需要予測を活用し、最適なレイアウトや人員配置の実現を目指すとしている。

神鋼鋼線工業株式会社の技術総括・DX推進部である佐々木氏は、「本プロジェクトは、中期経営計画の第一歩で、現場で収集したデータを活用し、勘や経験に頼らない改善が始まった。将来的には、設備や品質の異常予兆、生産計画の最適化など高度な活用を目指しており、そのための確かな土台ができたと感じている。」とコメントしている。

また、同プロジェクトのPMを務めたコベルコシステムの幾井左氏は、「既存の生産・製造管理システムとも連携することで、異常の早期発見や迅速な改善が可能となり、現場力の強化にもつながっている。今後は、蓄積データを活用したプロセス改善や省エネ、CO2削減、トレーサビリティ強化にも取り組みたい。」と述べている。