近年、エネルギーを取り巻く環境が複雑化する中、電力の安定供給とコスト抑制の両立は、電力会社にとって重要な経営課題となっている。
特に、原子力、火力、揚水発電など多様な電源を最適に組み合わせ、燃料費を最小化するための日々の需給計画の策定は、高度な専門知識と時間を要する複雑な業務となっている。
こうした中、九州電力株式会社と株式会社グリッドは、AIを活用して日々の需給計画を自動化・最適化するシステムを共同開発し、2026年4月より本格運用を開始したと発表した。
同システムは、日々の需給運用において燃料費が最小となるような発電計画を導き出すプロセスにAIを導入したものだ。
最大の特徴は、複雑な条件や膨大なデータをAIが処理し、最適な需給バランスを自律的に導き出す点にある。具体的には、「電力需要想定」に加えて、「燃料コスト」「起動停止パターン」「出力変化速度」といった発電所ごとの詳細な情報や、各施設の「制約事項」をインプットデータとして用いる。
AIはこれらの条件をもとに最適化を行い、ベースとなる原子力発電や日中の太陽光発電の稼働状況を踏まえつつ、火力発電の柔軟な出力調整や揚水発電の運用タイミングなどを組み合わせた需給計画を自動で生成する。

これにより、より効率的な発電運用が可能となり、発電燃料費の大幅な削減を通じた企業の競争力強化に繋がる。
また、システムが自動的に最適な計画案を算出するため、従来は担当者が手作業で行っていた策定業務の時間が短縮されるほか、担当者のスキルに依存していた業務品質が均質化されるため、特定の熟練者に頼らない組織的な業務体制の構築と業務効率化にも寄与するとのことだ。
九州電力は今後、実際のシステム運用を通じて得られる新たな知見を継続的に取り込み、需給運用のさらなる効率化と高度化に取り組んでいくとしている。
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