昨今、投資家層の拡大や、高速・高頻度で自動売買を繰り返す取引「HFT」の拡大をはじめとする市場の複雑化・高度化により、証券会社には、自社で起こりうる不公正取引のリスク状況に応じた売買審査が求められている。
こうした中、大和証券株式会社は、相場操縦等の不公正取引を監視するコンプライアンス業務において、日本電気株式会社(以下、NEC)の「AI不正・リスク検知サービス for 証券」及び株式会社大和総研が開発した「AI不公正取引検知モデル」を導入し、AIを活用した審査を開始したことを発表した。
NECの「AI不正・リスク検知サービスfor証券」は、2020年より提供が開始された、証券業界向けに不公正取引の審査業務を支援するクラウドサービスだ。分析結果の根拠を可視化できる説明可能AIである「異種混合学習技術」を活用し、全ての取引データを対象に不公正取引の可能性を高精度にスコアリングするとともに、その判定理由も出力する。
これにより、審査担当者はより複雑かつ高度な不正手口の調査・分析に取り組むことが可能となる。
大和証券では、2023年3月に同サービスを導入し、売買審査業務に活用しているとのことだ。
一方、大和総研の「AI不公正取引検知モデル」は、2023年3月に開発された売買審査システムで、大和証券での利用を開始している。
今回、売買審査システムの一機能として、機械学習モデルと複数の深層学習モデルを組み合わせた構成を採用したAIを開発。大和証券の審査実例データをもとに、その審査ノウハウを反映させた独自のデータオーグメンテーション(データ拡張)技術を適用し、モデルとしての検知能力の網羅性・安定性向上に継続的に取り組んでいる。
大和証券では、2024年4月より同モデルの利用を開始しているとのことだ。
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