画像生成AIの急速な普及に伴い、実物か否かの見極めが極めて難しい偽画像を容易に作成できる環境が広がっている。
損害保険業界においても、これらを悪用した保険金の不正請求リスクが顕在化しつつあり、迅速かつ適切な保険金支払業務の維持に向けた対策の強化が急務となっていた。
さらに、デジタル化の進展によって、顧客がWeb上で損害立証資料を提出する機会が増加する中、画像の改変や流用といった生成AI以外のアナログな手口に対する備えも、重要な経営課題となっていた。
こうした課題を解決するため、MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、およびテックユニオン株式会社は、生成AI等で作成・加工された画像や、改変・流用の可能性がある画像を検知する機能を共同開発したと発表した。
同機能は、顧客から受領した損害立証資料に含まれる電子的特徴と付随情報を、複数の検知技術によって多層的に分析し、生成AIによる偽造や画像の改変が疑われる特徴を自動検知するセキュリティ管理システムだ。

具体的な仕組みとしては、顧客がWebなどで提出した損害立証資料(損害状況写真、修理見積書、領収書など)がシステムにアップロードされると、同機能が画像データに内包されている「電子的特徴」や「付随情報」を裏側で解析する。
複数の異なる検知技術を重ね合わせる多層的な分析アプローチを採ることで、人間の目視では突破されてしまうような巧妙な生成AI画像や、他媒体からの改変・流用といった不正の兆候を検知し、損害サポート部門の担当者へ判断の参考情報として提示する。
実務での導入にあたっては、これまで通り人間の担当者が最終的な保険金お支払いの可否を判断するオペレーションを維持することで、AIの判定精度を補完するガバナンス体制を敷いている。
また、顧客側にとっては従来の保険金請求プロセスから変わる部分は一切なく、追加の入力や確認作業といった利便性を損なう負荷は発生しないとのことだ。
なお、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、2026年8月より同機能を実際の保険金支払業務へ導入し、不正対策の強化を開始している。
両社は今回の機能導入を生成AI画像を用いた不正利用対策における「第一段階」として位置づけており、今後は、AI技術自体の急速な進化やそれに伴う環境変化を常に注視しながら、検知技術のアップデートとさらなる拡充を継続していく方針だ。

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