株式会社日立産機システム(以下、日立産機)は、経過時間と温度との積算値に応じて変色するインク「温度×時間センシングインク」を活用した、食品の品質可視化ソリューションについて、本格的な事業化を見据えた有償サンプルの提供を開始した。
「温度×時間センシングインク」は、低温環境ではゆっくりと、高温環境では早く変色する特性を持ち、温度に対する経過時間の積算値で一定の色に変化する。また、一度変わった色は元の色には戻らないという不可逆性を有している。

これらの特長により、色変化を数値データとして読み取ることで、出荷後の平均温度・積算温度(例:平均温度20℃で4日経過の場合は積算温度80)を把握することができる。
なお、このインクには、日立産機独自の材料技術を活用しており、これまでインク形態では難しかったコールドチェーンにおける低温から常温領域といった温度帯に対応している。
このインクを活用した品質可視化ソリューションは、「温度×時間センシングラベル」と「品質可視化アプリ」で構成されている。
「温度×時間センシングラベル」には「温度×時間センシングインク」で印刷されたマーク、および食品を特定する二次元コードが印刷されており、農水産物・食品に貼付して使用する。
品質可視化アプリには、熟し具合などの品質と積算温度の相関関係の情報が実装されており、モバイルデバイスでラベルを読み取ることができる。
青果物の熟し具合を判定する場合、「温度×時間センシングラベル」および二次元コードをアプリで読み込むことで、出荷後の積算温度を把握し、熟し具合を算出する。
また、読取時点から食べ頃までに要する積算温度とその後の保管温度から、食べ頃となる時期も予測することが可能だ。
食べ頃の時期はユーザの好みに応じて設定でき、例えばやわらかめが好きな場合は、より熟成が進行した状態での食べ頃時期を予測する。

これにより、流通サプライチェーンの各チェックポイントでラベルを読み取り、熟し具合を把握することができ、生産者や卸売業者は出荷の順番を、小売業者は品出しの順番をコントロールすることが可能だ。また、消費者は、最適な食べ頃の時期を知ることできる。
なお、同ソリューションを用い、メロンの熟し具合可視化機能の検証試験が実施された。
この検証では、温度調整可能な保管庫に「温度×時間センシングラベル」を貼付した生産直後のメロンを設置し、同ソリューションの機能を評価しました。
その結果、「温度×時間センシングインク」から算出した積算温度とメロンの熟し具合に比例関係があることが確認され、積算温度からメロンの熟し具合を予測可能であることが実証されたとのことだ。

無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。