株式会社日立製作所(以下、日立)は、製造業の顧客向けに設計業務を支援する「設計ナレッジシステム」を開発し、提供を開始した。
今回提供が開始された「設計ナレッジシステム」は、AIエージェントが熟練技術者の経験やノウハウ、過去の不具合情報といった技術文書を解析し、暗黙知となっていた知見を形式知化するものだ。
生成AIを活用したAIエージェントと日立独自の形状認識技術を融合させ、テキストや図表からの設計ルール自動抽出や3次元CADデータの高精度自動チェックを実現している。
利用の際はプロンプトを入力することなく、自然言語で書かれたテキストや図表から直接設計ルールを自動抽出して一元的に蓄積し、現場の設計者はチャットボットを介して自然言語で即座にナレッジを検索・参照できる。
また、過去のトラブル事例だけでなく、製造や組み立てなど後工程の知見も組み合わせて設計ナレッジとして体系化し、設計現場へ継続的にフィードバックすることで、組織の資産として蓄積・活用する仕組みを備えている。
さらに、日々の運用を通じて得られた新たな知見をナレッジへ継続反映することで、組織資産を進化させ、組織全体の設計品質の平準化と継続的な向上を支援する。
他にも、日立が長年培ってきた制御・運用技術(OT)の知見に基づく「形状認識関数データベース」を搭載しているのが特徴だ。
穴の取得や曲げ、距離測定といった独自の形状認識関数群とAIエージェントを連携させることで、抽出した設計ルールからCADチェック用のプログラムを自動生成する。
これにより、標準フォーマット(STEP形式)の3次元形状CADデータと照合し、設計ルールに違反する箇所を高精度に自動検出して、画面上に可視化することを可能にした。

なお、株式会社日立ハイテクにおいて、板金・製缶図面の検図作業を対象に同システムのプロトタイプを用いた実証テストを実施している。
過去3年分の不備案件データを検証した結果、加工困難な箇所や寸法不備などを100%自動抽出することに成功し、後工程への不具合流出を防ぐ高い成果を確認しているとのことだ。
今後日立は、同システムを設計業務にとどまらず、製造・保守・品質保証といった製造プロセス全般へ拡張させ、部品表(BOM)や製造工程表(BOP)の自動生成やバーチャル試作検証などを通じ、フィジカルAI領域への展開も視野に入れていくとしている。

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