IDC Japan株式会社は、国内エッジインフラ(ハードウェア)市場(以下、エッジインフラ市場)予測を発表した。これによると、2021年のエッジインフラ市場の支出額は、前年比19.3%増の4,056億円であると推計している。また、2021年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は9.9%で、2025年の同支出額は、5,911億円になるとIDCは予測している。
IDCでは、エッジ領域で使用されるITインフラを「エッジインフラ」と定義している。なお、特に断りがない限り、エッジインフラとはエッジ領域におけるテクノロジー全体を示し「ハードウェア」「ソフトウェア」「サービス」の各サブセグメント全体を含むものとしている。
IDCでは、企業や組織におけるデータ分析処理の比重が、今後コアインフラからエッジインフラにシフトし、AI技術を利用した高度なデータ分析処理に対するニーズが高まるとみている。それと共に、データ分析処理に使用されるデータは、動画や静止画などの非構造化データが増加し、データの種類も豊富になってくることから、今後、エッジコンピューティングのニーズは拡大し、エッジインフラ市場は高成長すると予測している。
IDCでは、エッジインフラ市場を「サーバー」「ストレージ」「ゲートウェイ」「ネットワーク機器」の各サブセグメント別に分類し市場予測を行っている。2021年のエッジインフラ市場をサブセグメント別に見ると、支出額が最も大きいのはゲートウェイ市場であり、その支出額は前年比19.3%増の2,515億円、2025年の同支出額は、3,763億円に拡大すると予測している。
2021年~2025年の4年間におけるCAGRは10.6%を予測しており、予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の6割強を占め、CAGRで見ても、サブセグメントの中でサーバー市場に次いで、高い成長が期待できる市場となっている。なお、最も高い成長が期待できるサーバー市場のCAGRは、15.2%と予測しており、2025年の同支出額は、959億円になると予測している。
また、IDCでは、エッジインフラ市場を「AI」「AR/VR」「Drones」「IoT」「Robotics」および「Service Provider」の各Domain(ドメイン)別に分類して市場予測を行っている。2021年の国内エッジインフラ市場をドメイン別に見ると、支出額が最も大きいのはIoTドメインであり、その支出額は前年比20.5%増の1,800億円、2025年の同支出額は、2,862億円になると予測している。
2021年~2025年の4年間におけるCAGRは、12.3%を予測しており、予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の4割強から5割弱を占め、CAGRで見ても、Service Providerドメインに次いで高い成長が期待できる市場となっている。なお、最も高い成長が期待できるService Providerドメイン市場のCAGRは、22.0%と予測しており、2025年の同支出額は、885億円になると予測している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊雅行氏は「国内エッジインフラ市場は、今後、成長が期待できる市場である。ITベンダーは、エッジ領域でのコンピューター処理に関するシステム要件や、さらには業務要件まで踏み込んで、顧客の潜在的なエッジコンピューティングニーズを引き出すことが重要である」と説明している。
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