食品流通業界において、需要変動の拡大や物流現場の負荷増大、エネルギー価格の高騰に伴う輸配送コストの上昇が深刻な経営課題となっている。
これまで各社は個別に効率化を追求してきたが、従来の運用だけでは効果が限定的となり、サプライチェーン全体の最適化が困難になりつつあった。
こうした中、日清食品株式会社と三菱食品株式会社は2026年5月11日、「商流」と「物流」のデータ連携を通じて、需給バランスと物流効率の最適化を図る協業を本格的に始動したと発表した。
この取り組みは、企業間の垣根を越えてサプライチェーン関連データを連携し、AIを活用することで受発注業務の自動化やトラックの積載効率最大化実現を目指すものだ。
両社が保有する発注計画や物流実績などのデータを連携し、受発注や需給バランス調整業務の効率化と自動化を推進する仕組みを構築する。
最大の特徴は、製造と卸売が連携し、双方の課題を解決する実用的なモデルを構築した点にある。
具体的には、「特売発注予定データの事前連携」「商品情報の自動連携」「AI発注モデルの構築」という3つの取り組みによって構成されている。
先行して行われた実証実験では、三菱食品が保有する特売発注予定データを事前に連携することで、日清食品における在庫調整の業務時間を月間約200時間削減することに成功した。
また、日清食品の商品情報を三菱食品へ自動連携させることで、商品情報の登録業務も効率化されている。
さらに、三菱食品から日清食品への発注時に、トラック1台あたりの積載効率を最大化するAI発注モデルを構築したことで、配送に必要なトラック台数を約30%削減できると試算されている。
これにより、物流負荷の低減と大幅なコスト削減が見込まれる。両社は今後、さらなる効率化に向け、倉庫や配送トラックといった物流アセットの相互活用についての検討も進めていく計画だ。
日清食品と三菱食品は今後、AI技術の活用によって創出された時間やコストを、商品の安定供給をはじめとする消費者の利便性向上やサプライチェーン全体の最適化に還元していくとしている。
両社は同協業を通じて、自社だけの効率化を追求する従来の商習慣を見直し、製造、卸売、小売の各社がメリットを享受できるリアルタイムなデータ連携基盤「共創型データ連携プロセス」の構築を目指す。
これにより、サプライチェーン上に存在するさまざまなムリ・ムダ・ムラをデータに基づいて可視化し、食品流通業界全体の持続可能な成長と商習慣改革を牽引していく方針だ。

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