単一ではなく統合化したソリューション提供を目指す
山本:私たち内田洋行本社の例も紹介します。

これは築50年の本社に入っているフロア単位での環境モニタリング画面です。例えば空気を流入させてくる外調機がありますが、今まではこの運転モードを常に100%稼働して運転させていました。しかし100%稼働する必要が無い環境もあるわけで、普段は50%にしておいて、CO2濃度が一定以上に上がった時だけ100%運転にする、という具合に変更しました。そうすれば省エネにもつながるわけです。
これは私のスマートフォンですが、ここには現在、私たちがいるフロアの照明・空調を確認・制御する画面が表示されています。

―こういったソリューションは、空調操作・換気操作・照明操作・ブラインド操作など複数の機能がひとつの画面になっていますが、照明操作だけなどの単一のソリューションが欲しい、という顧客もいるのではないですか。
山本:単一のソリューションを提供して欲しいというお客さまも、中にはいます。しかし内田洋行のお客様はビル全体、あるいはフロア全部が対象です。単一のソリューションを採用してしまうと、全部違うクラウドが乱立することになる。通信もその都度通信キャリアと契約しなければいけない。そのため重複が発生しコストもその分重複します。内田洋行の場合は「統合監視」によって、同じクラウド上で必要な機能を拡張できるため、そうした重複を抑えられるのです。

設備だけではなく、会議室予約システムや課金システムなど、業務システムと設備をも連動させる。これが内田洋行のいう統合化です。ここまで出来るベンダーは中々いないのではないでしょうか。
―なぜ内田洋行はここまで徹底してソリューション提供が出来るのでしょうか。
山本:お客様の生の声を、そのまま受け止めるのではなく、その背景や本当に解決したい課題の優先順位付けなど、ニーズを論理的に整理し、実現したい目的をあきらかにします。その目的を実現できる複数の手段を提示し、投資に重複が発生しない実装順序を明らかにすることで、お客様の投資優先順位が整理できます。整理した実現手段を基に、実現したい機能を網羅するクラウド上のプラットフォームに実装しておけば、あとは後付けで拡張実装出来るようになります。そして、この「プラットフォーム」というのが内田洋行のいう「統合監視」です。
オフィスビル以外での働く場スマート化事例
山本:最後にスポーツクラブでの事例、工場での事例、物流施設での事例もご紹介しましょう。
例えばスポーツクラブ NAS様も同じような構成で「統合監視」を実装しています。
―なぜ細かく指示が書かれた画面になっているのでしょうか。
山本:スポーツクラブ全ての店舗に設備の専門家が置けません。万一設備に何らかの異常が求められた場合でも、本社から状態監視を行っているためすぐに問題の発見が可能です。同時に設備の専門家ではない従業員に向けて、本社から遠隔指示で「こういう対処をしてください」と言う指示が店舗と本社で同じ画面を共有して対処できるようになっています。人手不足対応だけでなく会員様へのサービス低下を防ぐことに寄与しています。
工場の事例では、地震速報のソリューションという珍しい例です。
その工場は社員の安心・安全の観点から、地震発生の際に地震速報の警告音を鳴らしたりパトライトを回したりしていたのですが、工場内の騒音で音が聞こえず、パトライトも見えづらかった。そこで内田洋行の提供する、緊急地震速報を鳴動させるセットトップボックスと、LED照明を連動させ、地震速報が鳴動するとLED照明が点滅して知らせるソリューションをご採用いただきました。
照明がいざというときに安全・安心のツールに変わる。つまりモノの価値が変わるわけです。
これこそがIoT=つながる、ということだと思います。
物流センターでも当社のソリューションが採用されています。
10万平米という巨大な物流センターについては、設備の多くをタブレットで操作可能とし、CO2センサーを入れて自動的に換気を行い、結露を防止するというソリューションを入れました。物流センターで結露が出れば、荷物が濡れる可能性があるためです。
―オフィス以外にも環境制御ソリューションの提供を行っているのですね。
山本:内田洋行のソリューションは業種はあまり関係ありません。基本的には用いる技術は同じです。
しかし、オフィスに取り組む方がやはり内田洋行の強みが出ます。
いま工場や物流センターでは無人搬送機やロボットなど、先進的なテクノロジーの導入が進んでいるのに比べて、オフィスはIoT化など先進的テクノロジーの実装が一番遅れている気がします。人が介在するオフィスだからこそ簡単ではありませんが、そこに内田洋行は「人」に対するアプローチで、IoTと統合化の技術を用いて、オフィスの生産性を上げるお手伝いをしています。
―本日はありがとうございました。

1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。
