コンテナからの荷降ろし作業は、荷物が天井近くまで積まれているため手が届かなかったり、重くて持ち運びが困難であったり、夏場はコンテナ内の温度が極めて高くなるなど、過酷な労働環境だ。
そのため、自動化ニーズが高まっているが、コンテナ内は輸送効率を高めるために多様なサイズや重さの荷物が天井近くまで積まれており、ロボットによる完全自動化は難しいのが実情だ。
こうした中、サンワサプライ有限公司、SGシステム株式会社、XYZ Robotics株式会社は、2025年2月に日本市場への物流ロボット導入において協業することに合意し、その第1号としてAI搭載の荷降ろしロボット「RockyOne」をサンワサプライ東日本物流センターへ導入したことを発表した。
「RockyOne」は、XYZ Roboticsが開発したMMR(Mobile Manipulation Robot:自律移動型単腕ピッキングロボット)で、コンテナ内に積まれた様々なサイズのカートンを自動で荷降ろしするロボットだ。
このロボットは、AMR(全方位移動架台)の上に産業用ロボットアーム、3Dカメラモジュール、独立制御吸着ハンドなどを搭載しており、コンテナの手前から最奥部まで、全ての荷物を効率的に自動で荷降ろしすることが可能だ。
また、荷物の積み方が悪い場合や障害物でロボットが自動的に操作できない場合には、タブレット端末上に警告および対応方法が表示され、迅速に復旧することができる。
今回の導入にあたり、SGシステムはサンワサプライ商品のサイズや重量、コンテナ内の積載状態などを詳細に調査し、対象コンテナを選定した上で、自動化の可能性を分析した。
自動化が可能なコンテナは、「XYZ Robotics」が安全かつ効率的な荷降ろしが可能か、システム上のシミュレーションで事前検証を行った。
一方、自動化が困難なコンテナは、サンワサプライが荷物の積み方など運用面の見直しを行った。これにより、混載時でもロボットによる自動化率の向上を実現した。
2024年10月から11月に実施した実証実験では、対象となるコンテナ数の大幅な増加に成功し、コンテナ内の作業者数はゼロ、重い荷物の処理性能は人手の1.5倍(250PPH)、軽い荷物の処理性能はマルチピッキングにより人手と同等(350PPH)を達成した。
また、2025年4月からの本導入では、ロボットの高速化と運用面での変更により、処理性能は大型荷物が320PPH、中型荷物が470PPHに向上し、すでに実運用が開始されている。
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