「プラットフォーム」はなぜ必要なのか、その分類と理想像 —八子知礼×小泉耕二【第9回】

“そんなプラットフォーム”なら、つくっても意味はない

八子: 「プラットフォーム」とひとことで言うと、ITの基盤があって、そこにどんどんデータが貯まっていけばいいじゃない、という発想になりがちです。

「IoTプラットフォーム」ということであっても、それでいいと思います。ただ、私がさきほどから申し上げている「業界別プラットフォーム」は、ITの基盤ということだけでなく、(その基盤を使って)どうやって新たなビジネスを生み出していくかという、「ビジネスプラットフォーム」の要素の両方を含むのです。

なおかつ、ITの基盤においても、色々な機械からデータが上がってくる層、そのデータを蓄積して分析ができる環境に整える層、さらにそれを外部の人もデータ活用できるようなAPIやライブラリー群を整える層。この3層構造にスライスすることが必要です。

この構造がきちんと整理されていないと、自分はいまどこの部分をつくっているのか、どこの議論をしているのか、わからなくなるのです。そういう状況に陥っている企業さんをよく見かけます。

「プラットフォーム」はなぜ必要なのか —八子知礼×小泉耕二
株式会社アールジーン社外取締役/株式会社ウフルCIO(チーフ・イノベーション・オフィサー) IoTイノベーションセンター所長兼エグゼクティブコンサルタント 八子知礼

あるいは、(プラットフォームの議論をしているはずなのに)いわゆる「サイロ型」の、業界のニッチな領域の技術開発の話に終始してしまうことがあります。それでは、どう考えてもプラットフォームにはなりえないのです。

その中に貯まっているデータを複数の会社さんに幅広く使っていただくというような発想になれば、プラットフォームにもなりうるわけです。しかし、どうしても自社の技術開発、かつ数社だけの“クローズドプラットフォーム”の議論に陥ってしまっています。

なおかつ、扱うデータも現場の非常にニッチな領域のデータであることが多く、それをどう活用をしたいのかというところがなかなか見えてこない。もしくは活用したとしても、ニッチな人たちの業務アプリケーションにしかならない。

そうすると、そもそもそれは「プラットフォーム」というような大きなテーマを掲げて取り組むべき話だったのだろうかと、疑問が残ります。

小泉: それは要するに、数社間のシステム連携ができるくらいの業務アプリケーションでしかないということですよね。

八子: そういうことです。どう考えても、数社での“クローズドプラットフォーム”なのです。そこにどんどんデータを蓄積していくと、当然ながらストレージコストがかかってきます。

そうすると、それをペイするだけのアプリケーションは、その数社だけでは到底つくりえません。その結果、「これは儲からない。なぜそこまでしてつくる必要があるのか」と、そういう話になります。

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