自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること ーCES2019レポート⑦

ラスベガスで開催されているCES2019のレポート第7弾では、「モビリティ」をテーマに展示を紹介する。

自動車に関わる企業のブースでは、コンセプトカーの展示が目立った。デザインや車内のユーザーインターフェースなど各メーカーの独自の色は出ているものの、総じて、自動運転社会を見据えたコンセプトが多く見られた。たとえば、昨年のトヨタが発表して注目を集めた「e-Palette」のような、シェアリングを前提としたボックス型の自動運転EVである。

そのトヨタは、CESの前日に行われたプレカンファレンスでは登壇したが(※)、出展はしていなかった。その代わり、他の企業によるEVプラットフォームの展示がいくつか見られた。

自動車メーカーではないが、パナソニックも大きなブースの中に小型のEVプラットフォーム「SPACe_C」を出展(トップ画像)。来場者から大きな注目を集めていた。

「SPACe_C」の目的は「地域活性化」であり、街中や観光地などで機動的に活躍する小型EVを志向しているという。車両の特徴は、車両の上下が分離できることだ。上部にはヒトやモノ(荷物)が乗り、さまざまな利用や体験ができるキャビン。下部はパナソニックの小型EV向けプラットフォーム「48V ePowertrain」が搭載された小型モビリティのベースとなる「e-Torta」で構成される。上部のキャビンを取り替えることで各地域のニーズに合わせたカスタマイズが可能だ。

「48V ePowertrain」とは、このほどパナソニックが開発し、従来比2倍以上の出力(18キロワットの高出力)と小型化を実現したプラットフォームのことだ。電源システム部(車載充電器、ジャンクションBox、インバータ、DC-DCコンバータ)と駆動部(モータ)で構成されている。

自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること ーCES2019レポート⑦
「SPACe_C」に乗るのはヒトだけではない。

電池を含め、パナソニックが持つEV技術を活かしたコンセプトと言える。また、ブース担当員によると、「SPACe_C」はあくまで地域活性化を目的とした小型EVプラットフォームであり、必ずしも「自動運転」である必要はないという。用途に応じて自動運転の機能を搭載する場合は、パナソニックが持つ車載技術などを利用するほか、他の企業と共同で開発を進めることも想定されている。

ドイツのEVベンチャーe.GOと自動車部品メーカーZFの合弁会社であるe.GO Mooveも、小型EVバス「e.GO Mover」を出展。同社はモビリティサービスを提供するTransdevと協業し、新たなシェアリングモビリティ・サービスの開発を行うという。

また、ドイツの大手自動車部品メーカーであるコンチネンタルも今回のCES2019で自動運転EV「CUbE」(コンチネンタル・アーバン・モビリティ・エクスペリエンス)を発表。また、同社はこの「CubE」と犬型の配達ロボット「ANYmal」を連携させ、物流のラストワンマイルを志向しているところがユニークだ。

自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること ーCES2019レポート⑦
小型EVバス「e.GO Mover」
自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること ーCES2019レポート⑦
自動運転EV「CUbE」と犬型の配達ロボット「ANYmal」。「CUbE」が目的地に到着すると、荷物を背負った「ANYmal」が「CUbE」から出動し、顧客に荷物を届ける。

一方、日産はリアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合することでドライバーに「見えないものを可視化」する「Invisible-to-Visible (I2V)」という独自の技術コンセプトを発表した。

「I2V」は、「SAM (Seamless Autonomous Mobility)」・「プロパイロット」・車室内センサーのデータを統合する「Omni-Sensing(オムニ・センシング)の3つの技術を活用。交通環境は「SAM」、車両の周囲はドライバーの半自動運転支援システム「プロパイロット」、車内環境は車室内に搭載されたセンサーから現実世界のデータをリアルタイムに収集する。

自動運転の社会をみすえ、モビリティ各社が考えていること ーCES2019レポート⑦
ARゴーグルを装着した来場者が「Invisible-to-Visible (I2V)」コンセプトのデモを体験している様子。

「I2V」はその現実世界のデータからデジタルツイン(バーチャル空間)を形成。車両の周囲360度にバーチャル(仮想)スペースをマッピングし、道路状況や交差点の見通し、道路標識や近くの歩行者などに関する情報を提供する。

また車室内の乗員の状況もリアルタイムに把握し、乗員に必要なサポートを行う。雨天時に窓から見える雨模様の景色に快晴の景色を重ねて映し出すことで、快晴の中を走行しているかのような体験も提供する。

このように、CES2019のモビリティをテーマとする会場では、各社それぞれの強みを活かした多様な自動運転社会へのアプローチが見られた。

■CES2019レポート

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