小売業のIoT化から見えてくる便利な未来と課題 ーSoracom Discovery 2019レポート7

イノベーションが生み出されるのは「カフェ」そしてフィードバックループサイクルの現場になる

小売業のIoT化から見えてくる便利な未来と課題 ーSoracom Discovery 2019
クラスメソッド代表 横田聡氏

最後に横田氏から今年の2月にオープンした完全キャッシュレスのレジなし店舗「Developers.IO CAFE」の説明がなされた。横田氏はこのカフェは、IT企業がIoTを使って小売飲食店舗を始めた実験の記録だと話す。

仕様は、Developers.IOというアプリをダウンロードしておき、クレジットカードを登録しておけばモバイル注文をすることができる。

商品が出来上がるとアプリ内にプッシュ通知が届き、アプリを定員に見せると商品を受け取ることができる。

またカフェの中にレジ無しストアが併設されており、ストア内に入る際、アプリのQRコードを読み取り入店する。天井に設置されたカメラで人影を追い、動きを把握する。入店時のQRコード読み取りにより、人とIDが紐づけられる。

小売業のIoT化から見えてくる便利な未来と課題 ーSoracom Discovery 2019
入店の際QRコードをかざす

商品のカゴには重量センサーがついており、1つ1つの商品がマスターとしてデータベースに保存されている。そのため、取ったり戻したり、何をいくつとったかといったことも全てクラウドに保存される。

最終的に商品を持ち店を出ると、どのユーザーが何をいくつ手にとっているかという情報をクラウド側で確定し、自動的に登録しておいたクレジットカードから決済処理が行われる。

決済が終わるとスマートフォンに通知が来るという仕組みだ。

元々クラスメソッドは顧客のIT支援を行うクラウドインテグレーションをメインにした会社だった。しかし事業会社がIT企業になろうとするがなりきれず、クラスメソッドが支援をしようとしてもやりきれなかったという。

そこでどうすればブレイクスルーできるのかと考えた際、IT企業が事業会社化されている流れがあり、それを実行してみたのがこのカフェということだ。

また、去年の5月にシアトルにいった際、無人店舗で最新テクノロジーを感じずにものを買えたことに衝撃を感じたことも1つのきっかけだったようだ。

そこから見よう見まねでパーツを購入し、組み立て、試行錯誤し1つ1つを自社で作ったという。

「創造活動に貢献する」という企業理念のもと、1パーツ1日2日程度で検証し、実装していったと語る。

当初は自社の中でPoCを行っており、Wi-fiで対応していたが、外で技術検証する際に配線の問題などからソラコムのSimを導入したという。

横田氏はフィードバックループサイクルを高速に回せる環境を作りたいと考えており、実際にトライアンドエラーを繰り返すことのできる環境を構築したということだ。

このカフェのサービスは横展開していくわけではなく、自分たちでイノベーションを起こすにはどうすればいいのかということを実証したかったのだという。

小売業のIoT化から見えてくる便利な未来と課題 ーSoracom Discovery 2019
見よう見まねで一から自分たちで試行錯誤している様子

また、横田氏は、カスタマーフィードバックも重要視していると話した。

研究室の中でPoC作りをしていても誰の意見ももらえないといった環境ではなく、市場に投入してリアルな顧客からの声をもとに改善していくことで、初めて良いプロダクトができるのではないかと考え、Developers.IO CAFEをオープンさせたという。

実際エンジニアもカフェで働き、顧客やスタッフの行動を見てお店で何が起こっているかを把握し、そのフィードバックをサービスに反映しているという。

このフィードバックが毎日できることが重要であり、バージョンアップを毎週行っているという。

現在はクラウド側をSaaS化しており、ハード側をリファレンスモデル化し、様々なタイプのお店を量産できるようにしているという。さらに2店舗目の計画や、海外展開の可能性を視野に入れていると語った。

IoT化することにより見えてきた課題

今後の課題は3名とも共通するものだった。それはハードウェアの継続的インテグレーションだと語った。

より良いものを作るためにソフトウェアをバージョンアップしていけば、サーバーやハードウェアも変えなければならなくなる。

スマートマットであれば、一度導入した大量のマットの回収、交換することの非現実性や、冷蔵庫やカフェといった交換が難しいハードウェアに対してどのようにアプローチしていくのが正解なのかを模索しているという。

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