セコム株式会社は、AIを活用して巡回・侵入監視を行うセキュリティドローン「セコムドローンXX(ダブルエックス)」を開発し、2024年春の発売を予定していることを発表した。
セコムは2015年12月に、敷地内への侵入があった際に不審者を自律飛行で追跡し、その映像をセコムのコントロールセンターに送信して対応につなげる、民間防犯用の「セコムドローン」を実用化している。
今回開発された「セコムドローンXX」は、「セコムドローン」の機能をさらに進化させたもので、新たに人や車両を検知する画像AIを搭載し、監視員が不審者・不審車両と判断して、指定した物体を自動で追跡・撮影する。
飛行時間・速度を向上させ、最大で半径約6kmのエリアを警備することが可能となった。また、耐風性能を高め、赤外線カメラも搭載しているため、悪天候や夜間の監視能力も向上している。

また、セコムグループで地理空間情報サービス事業を担う株式会社パスコが提供する3次元立体地図を活用することで、斜面や建物が並んでいる複雑な地形でも対応できる。
通信はLTE通信等を使用できるため、敷地内へのWi-Fi通信設備の設置が不要だ。
新たに開発された格納庫では、ドローンの格納・離着陸・バッテリー交換および充電、機体のセルフチェックを全自動で行う。

また、従来の「セコムドローン」では再飛行まで約2時間の充電時間を要していたが、自動でバッテリーを交換する方式としたことにより、約3分で再飛行できるようになった。
ドローンが捉えた映像は、リアルタイムで防災センター等に送信するとともに、より高画質な映像をドローン内部に蓄積する。
現地の防災センター等では、状況をリアルタイムに確認した判断・対応ができ、セコムのセキュリティシステムを導入している場合は、セコムの画像センターでもリアルタイムで映像を確認し、必要に応じて緊急対処員が駆け付ける運用も可能だ。
また、ドローン内部に蓄積した高画質映像は、ドローンが帰還した後に格納庫を介して防災センターに送信されるため、巡回監視・侵入監視中に発生した事案の確認・解決に役立てることができる。
「セコムドローンXX」は、これらの特性を活かし、あらかじめ決められたルートを飛行し安全確認を行う「巡回監視」、敷地内に設置してあるセンサや監視カメラが検知した侵入者を追跡する「侵入監視」を提供する。
「巡回監視」では、あらかじめ決められたルートを飛行し、巡回中に侵入者を発見した場合は対象者を指定することでドローンが自動で追跡する。

「侵入監視」では、外周センサが敷地内への侵入を検知すると、ドローンが飛び立ち接近。AIで侵入者を検知し、対象者を指定すると自動で追跡するとともに、映像をリアルタイムで確認できる。

また、監視カメラとの連動も可能で、防災センタ等で監視カメラ上に不審者を発見した場合、対象者を指定してドローンに急行・追跡させることも可能だ。

なお、「セコムドローンXX」は、防衛装備庁の新技術短期実証事業「ドローン等を用いた監視・検査の自動化・効率化」で実証した内容をベースにしており、航空自衛隊、海上自衛隊の防衛施設向け監視システムの現地実証試験も進行しているのだという。
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